スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
--/--/--(--)
スポンサー広告

第十一章。

 お久しぶりの更新。はい、続いてたんです。筆が遅いんです(

というわけでひとまず情報収集回は終了、そろそろ締めに向けて転がして行きたいと思いつつ、転がってくれるんだろうかとか思いつつ本編は追記より。



「ジャック、お前は何だと思う?」

「何かの施設への出入口、と考えるのが妥当だが……。」

 永遠亭へと続く道、そこから少し外れた竹林に男達は居た。少し離れた場所で辺りを見回すブレザー姿の少女を呼びつけ、鉄製の扉の前まで来させる。大型の対物ライフルを提げた少女、イナバは一頻り調べた後、ライフルを支えにする様に姿勢を崩して息を吐いた。

「……二重扉になっていて、直径が大体5m程の空洞が続いています。つい最近できた物のようですし、どこに繋がっているのかはわかりませんね。」

「そうか。……あの四脚はコアを大破させてしまったしな……状況から見ても、インターネサインへと繋がっていると考えるのが自然だが。」

「他にも情報を持っている方はいるでしょうし、そちらを当たってみましょうか?」



「どうだい河童、何か目ぼしいものは見つかったか?」

 手足を失い打ち捨てられたパルヴァライザーの胴体部分。萃香が剥がした装甲から覗く機械部分にプラグを噛ませ、端末を眺めてしかめっ面を浮かべるにとり。

「……そこそこかな、データの送受信は生きてたから、それを利用してマザーと思われる機器の位置座標はほぼ特定したよ。データのやり取りの際に、幾つかのポイントを経由してたのもあって骨が折れたけどね。」

「上出来じゃないか。他には?」

「武装のデータ位。火力に管制装置の捕捉範囲、インターネサインやパルヴァライザーの性質上鵜呑みはできないけど、戦闘距離の目安程度にはなるんじゃないかな。」

 そう言いながら、数秒の操作を続けるにとりを見ていると、その傍に置いていた別の機器から、小さな動作音を伴い紙が吐き出される。出てきたそれを拾い上げた萃香であったが、書かれている内容は今一つ分からなかった。

「何だこれ。」

「パルヴァライザーの武装と装甲材、防御スクリーンの出力データ。次に出てくる奴も当然強化されてるだろうけど、進化にも当然限界はある。これまでの戦闘から相手の進化、その最終値の予測データを作るんだよ。学習ってのは機械の専売特許じゃないのさ。」

 そんなもの一体何に使う、と不思議そうな表情を見せる萃香に対し、にとりは自信に満ちた、俗に言うドヤ顔というものに近い顔を見せる。

「元からとんでもな力を持ってる萃香たちならなんとかなるだろうけど、生憎そんな戦力ばっかりじゃないからね、備えはなるべく万全に近づけたいんだよ。」

「ふーん。ま、あんまり戦って面白い相手じゃないし、手っ取り早く倒せるならそれに越したことはないね。」

 機械には詳しくないんだ、とため息を吐く萃香の視界の端、小さな光を放つ携帯端末が映った。訝しげにその画面を睨むが、描き出された文字を読むことは叶わず、彼女が何をしたのか、見当がつかなかった。

「そろそろ合流して情報の擦り合わせでもしないか? 霊夢にも知らせておきたいしな。」

「そうだね、こっちもやることは大体終わったし。それに、ここ数回の戦闘ペースを考えると、あんまり時間もなさそうだ。」

 大体、ね。そう呟いた萃香の言葉は幸か不幸か、誰の耳にも留まることなく、中空に消え行くのだった。



「ねえ。」

「……なんだ。」

 神社の裏手、片膝を立て佇む二脚型のAC『ファシネイター』のコックピットに潜り込み、何やら作業をしている傭兵に向けて、霊夢は気だるげな声を掛ける。

「結局、どうするつもりなの?」

「どうするも何もないだろう、インターネサインを放置しておくつもりはないし、アレは私達の世界の厄介事だ。相応の後始末はさせてもらう。」

「だけど他の傭兵とは手を組まない?」

 否定するつもりもないのか、無言で作業を続ける。見立て通り、ジナイーダと名乗った彼女はあくまで個人で始末をつけようとしているらしい。他のレイヴンとの協働は全く考えていない、といった様子。

「まあ、乗り掛かった船だし、手伝い位はするわよ。此処での飛び方は知らないでしょ?」

「……助かる。」

「ああ、それと、壊すのは鳥居だけにしておいてくれないかしら。」

「それは相手に言ってくれ。この一帯を戦場にしないという保証は、何時になっても出来そうにない。」

 善処する、位は言って欲しいものね等と嘯く霊夢の背後から、聞き慣れた居候の声がした。どうやら河童と共にパルヴァライザーを調べていた萃香が戻ってきたらしい。

「霊夢、河童が色々情報引っ張り出してきたぞ。」

「何?」

萃香の言葉にジナイーダが反応する。装甲の凹凸や突き出した外装部分を危なげ無く蹴って降りてくる姿を見て、鬼の少女は小さく口笛を鳴らす。にとりは同種の人間を見ていることもあり、またか、といった具合に溜め息をつくのだった。

「武装と装甲、かろうじてデータが生きてた防御スクリーンの出力を控えてるよ。不完全なデータだったから予測値になっちゃうけど。」

「……随分強めに見ているな。」

「アレがどこまで進化するかを知らないからね。」

 それに、上方修正より下方修正の方が楽じゃないかい? と続く台詞に、さして迷うことなく同意する。実際、相手を安く見た故の敗者をごまんと見ているのだ、結果として拍子抜けとなろうとも、相手を警戒するに越したことはない。

「それで、他には何かなかったのか?」

「……いや、大部分のデータは破損していたみたいだし、集積装置ごとやられてるのもあったから、目ぼしい情報はあまり得られていないかな。」

「そうか。ならこの情報だけ受け取っておく。」

「毎度。」

 金を取るのか、と呟く声が聞こえた。

「情報はタダで生えてこないよ。そうだね……」

 わざとらしく考え込む様子を見せる河童を冷めた目で見つめる。技術者であり機械に被れた少女の目的などおおよそ検討はついているし、その予測は決して間違ってはいなかった。

「あの機体を調べさせて欲しいな。今は状況が状況なだけに分解や厄介そうな場所を触ったりはしないけど。」

「事が済んだら詳しく調べる、と言いたげだな。」

「駄目かな?」

 逡巡。愛機を他人に触れさせる事をそもそも好んではいなかったし、他のレイヴンの存在を情報として知っている以上は、尚更中身を知られたくなかった。しかし。

「……まあ、良いだろう。どの道この件が片付けば不要な異物だ。」

「話が早くて助かるよ。じゃあこれが装甲材と防御スクリーンを基に算出した防御能力の予測値と、こっちが最新の搭載火器情報。……あ、そうだ。」

「何だ。」

「……騙して悪いが、とは言わないよね?」

 そう言って間もなく、矜持を売るほど堕ちた覚えはない、そう怒気を孕んだ声が帰ってきた。

「信用度に関してはお互い様だろう。」

「それもそうだ。それじゃあ私はこの辺で、メンテもまだ終わってないからね。」

 ひらひらと手を振りながら立ち去るにとりを見、小さく溜め息を吐く。手渡された資料がある程度正確であった場合、一つ、大きな懸念事項があった。
 それは、飛行型と呼んでいた形態が持つ、こちらの技術水準を大きく上回る武装や防御機構の存在である。それと相対する事を考えれば、補給が不可能に近い状況で無駄弾は使えないし、何より今出ている数値そのものが、アーマードコアの火器では飛行型の防御機構を破れない事の証左となる。
 そして当然ながら、この二脚型からそれに関しての情報は得られていなかったらしい。

「……何にせよ、奴との戦いはあと二度で終わる。」

「二度?」

 ワタリガラスの言葉は勝利を確信した故のものではなく、自らに課せられた死刑宣告への秒読みであった。

「三度目にもつれ込めば、アーマードコアでは勝てない、という事だ。」
スポンサーサイト















管理者にだけ表示を許可する


| ホーム |
Page Top↑
▲ Page Top
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。