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Girl's Talk -Unlimited-

お久しぶりの更新となります。

今回は以前書いたガールズトーク【こちら】の続きというか後日譚というか、都合よく男子が出払ったのをいい事に色々ぶっちゃけさせようというとってもアレなお話です。

これまでの掌編に出てきたキャラクター以外は出てきませんが、さすがにビジュアル位は用意するべきかなーとは思ってたりもします。



本編は追記より。


「そういえばまだちゃんとした話聞いてなかったわ!」

「ど、どうしたんですかいきなり!?」

 御月の自宅。ソファに寝そべり、携帯ゲーム機と格闘していた優希の背後から、御月の姉、遥の声が鋭く飛ぶ。たまたま遊びに来ていたユーリ、夏希に、シャワーを浴びて出てきたらしい日向も足を止めて訝しげな視線を向ける。

「優希ちゃんと弟のあんな話とかこんな話に決まってるでしょ? 幸い今日は女しかいないわ、腹割って話そうじゃないの」

「どこまでぶっちゃけるのかしら……」

 呆れたようなポーズをとってはいるが、ユーリとしても気になる話ではあったし。問題となる御月ら男性陣が留守となれば、あれやそれやをポロリと口走らないか、という期待も少なからずあった。

「オンナノコ同士の話だし、まあ極端にアレじゃない限り全部っしょ」

「わ、私はちょっと……」

「日向も参加ね。若輩者同士大人しくしてれば平気よ平気」

「で、でも……」

「多分逃げるのは無理じゃないかなあ。優希も捕まってるし」

 そう言いながら夏希が指差した先には、キッチリと両脇を抑えられ、死んだ目をしている優希の姿があった。


[Girl's Talk -Unlimited-]


「さて、とりあえずこれから聞いとこうかしら。みんな彼氏いる組?」

 今さら言うことじゃないよね、と膨れっ面のままグラスを傾げる優希と、一応、と気恥ずかしそうに答える夏希。ユーリと日向の年少組二人は眉間にシワを寄せて視線を逸らした。

「で、私は彼氏もち、と。高校生二人は恋人居んのねー」

「夏希は四月頃だっけ?」

「えっ、誰なんですか?」

「香椎秋人、知ってるでしょ? 学園祭の時にライブでギターやってた」

 あー、あのパッと見チャラそうなのと付き合ってんの? と遥。遠慮も何もあったものではないが、外見に関しては満場一致で「何となく遊んでそう」と認識されていたため、夏希からも特別反論はなかった。

「まあチャラいのは見た目だけなんですけどねー、アイツ結構奥手なんですよ、アレで」

「意外ね……というか、あんまり直接は話したことないけど、結構女の子に声を掛けられてたみたいだし」

 てっきりプレイボーイなのかと、と呟くユーリに頬を紅潮させて反応したのは日向。

「な、夏希さんが知らないだけで色んな女の子と遊んでたり、とかそういう……」

「無いから」

「……遥さん、何時の間に日向ちゃんこんな耳年増になったんですか」

「知らないわよ。私のせいみたいな言い方しないでよねー」

 ぷはっ、とビールの缶から口を離し、不満そうに唇を尖らせる。ともかく、まず聞いておきたいのはそっちではない。遥の標的は完全に優希一人であった。



「とりあえず経験済みって話は聞いたけどさ、どうなの実際?」

 その言葉を聞いて、ユーリの顔が引きつり、夏希ががたんと音を立てて身を乗り出す。前回間接的に話を聞いて
いた日向は、顔こそ赤いものの、大きな反応は見せずにいた。

「え、えっと、遥さん、経験済みって、何が、かしら?」

「ん? エッチに決まってんじゃん」

「…………」

 ユーリ、呆然。しかしながら、自身が振られた少年が、割合近しい友人と既に関係を持っていたと言われては、現実逃避を試みたところで責められるものではないだろう。たとえそれが横恋慕であったとしても。

「嘘ちょっと待って優希マジで白銀とやったの?!」

「……ああ、うん……」

 そして、二人が普段からかなり仲の良いことを知っている夏希でさえも、まさか既に身体を重ねた事があるとは思ってもいなかったらしい。頭を抱え、沈んだ声で投げ遣りな返事をした優希の姿が、その秘密の度合いを雄弁に語っていた。
 私もう帰っていい? と現実を突き付けられて半泣きとなっているユーリを慰めつつ、優希や遥の次の句を待っている日向。ブラコン、という言葉に近い兄への感情を持っている彼女にとってもこの先は、恐怖と興味が半分ずつといったところであった。

「でもそっかー、AVとかも全然持ってないようなアレが……やっぱ男なのねえ」

「あれ、でも確かそれっぽいゲームか何か見たような」

「ええ、あいつギャルゲーとかそういうのやんの?」

「ああ、たしかポニーテールの幼馴染みだけ攻略して投げっぱなしのやつだったかしらね」

 誰からともなく、ざあっという血の気の引く音が聞こえた気がした。

「何でプレイ状況とかまで知ってるんですか遥さん……ていうかなんで私と同じ様なポジションのキャラだけ攻略してるの御月……」

「いやー、普段そーゆーヤラシイのとかから縁遠いのもあって、あの子パソコンあんま得意じゃないのよねえ。パスとか普通にメモってたしさあ」

「プライバシーの欠片もないなお姉さん!?」

 私自身があんまり家族相手に隠し事しない質だから余計にね、と少し申し訳なさそうに笑う。そして付け加えるように一言、友達に借りてやってみただけだと顔を真っ赤にして言っていた、とビールをあおった。

「借りたって言われてもねえ……ていうか白銀、そんなんまで優希に似たキャラ律儀に選ばなくても」

「多分貸してたのは香椎さんっぽいんですけどね、鞄から小さい紙袋出してお兄ちゃんに渡してましたし」

「……持ってたわそういうゲーム」

「ていうか、それを言うなら夏希はどうなのさ。香椎君と何かあったりしないわけ?」

「あ、あるわけないじゃん! 奥手だって言ったっしょ、そういう雰囲気になりにくいの!」

 ムキになって否定したところを怪しいと踏んだか、側で話を聞いていたユーリがずい、と身を乗りだした。

「奥手とは言うけど、アプローチがあれば乗っかってきちゃうでしょう? そういう年頃なんだし、若気の至りの一つや二つ何かあるんじゃない?」

「無いわぁっ! つーかそもそもアプローチ出来る度胸あったら優希のノロケにダメージ受けてないですってーの!」

「……優希さん……普段どんだけお兄ちゃんの話してるんですか」

 半ば自棄と化している夏希の様相を横目に見ながら、呆れたような視線を優希へ向ける。優希は優希で苦笑いを浮かべ、曖昧に返事を濁した。彼女にとっては惚気のつもりはなかったのだろう。

「そんな四六時中御月の話してる訳じゃないし……御月と、その、え、エッチしたとか、そういうのは一回も言ってなかったしさー……」

「そこまでノロケに追加されてたら間違いなく壁殴ってたわあたし」

「私は今現在壁を殴りたくて仕方がないわね」

「……優希さん、普段のアレがノロケじゃないというのは無理があると思います」

 何故針の筵に座らされなければいかんのか、と濁った瞳を俯ける優希をちらと見やり、憔悴している夏希にふと問いかける。

「そういやさ、夏希ちゃんはマジにまだだったりするわけ?」

「イヤな聞き方しないでくださいよ、まだに決まってんじゃないですか」

 アイツもですけどあたしはあたしでヘタレてるんですよ、と視線を逸らした。

「やったやってないとストレートな言い方した割には初心なのねえ」

「というより、さっきのは脊髄反射に近いんじゃないかしら……」



「それで優希ちゃん的には好きな体位とかあんの?」

 刹那、フロアの空気が凍った。

「おっさんだ、おっさんがいる」

「完っ全に優希狙いだこの人」

 セクハラじゃないんですか、等という外野の台詞は既に聞こえておらず、遥の視線は優希の表情をじっと伺っていた。

「……遥さん、随分とオッサン臭くなりましたね」

「まあ最近ご無沙汰だしねえ。彼がこの時期忙しいからあんまりそういう機会無いのよ」

「だからって自分がイチャつけない鬱憤をこっちに向けないで下さいよ。……はあ、それで、好きな……体位、でしたっけ」

 どうやら完全に諦めたらしく、顔を真っ赤にして遥の方に視線を向ける。数度の深呼吸を経て、心の準備が出来たのか先程よりは動揺や焦りの色は少なくなっていた。

「うーん……やっぱり、その、普通が一番じゃないかと。一回だけ試してみたことありますけど、後ろからは、うん、怖かっただけ、だし」

「騎乗位は?」

「きっ……あー、うーん……微妙、かなあ」

「へー、征服してる感あって好きだけどねぇ私」

「私そういう趣味無いですよ……」

 二人の会話を横に聞きながら三者三様の反応を示す。恥ずかしながらも興味津々の日向に、何を想像したのか、顔を真っ赤にして塞ぎ込みうなり声をあげるユーリ、親友のあまりにもあんまりな暴露に現実逃避を始める夏希。

「優希ちゃんどっちかと言うとMっぽいもんねえ、後ろからとか、もしかしたら癖になっちゃうんじゃないの?」

「ななななわけ無いじゃないですかやめてくださいよそういうの!?」

「あっははは、冗談冗談。そーいや前戯とかどんな風にやってるの? アレ咥えた後ってキスとかしたくないじゃん、とはいえ手だとなんか物足りないし」

「へっ?」

「あああ、アレって」

「~~っ!!?」

 既に三人の事は意識から完全に外れているのか、どんどんと踏み込んだ話を続けてゆく遥。夏希らはもはや腰が砕けたか、席を外すこともままならない。そのような状態のまま、気まずさばかりを積み上げていた三人に救いの手が差し伸べられた。

「あれ、随分と色気付いた、というか数人グロッキーな状態ですけどどうしたんですか?」

「楓助けて!」

「はい?」



「……はあ、それで、そういう話に火が着いた、と」

 私がコンビニに行ってる間に何が、と少し呆れたような表情を浮かべる楓であったが、言葉尻は何故か柔らかかった。

「でも、やっぱりというか何というか、その手の話をギリギリまで隠そうとする辺りは優希らしいですね」

「そりゃどーも。前についのせられちゃってバレちゃったんだよね」

「バレたって言うか私的には言質を得た、って方が正しいわね。一時期かなり挙動不審になってたしほぼ確定かな、とは思ってたから」

「え、そうだっけ?」

「挙動不審に見えたことってあったかしら……」

 ユーリや夏希の反応を見る限り、楓や遥などその手の機微にも目敏い人間が気づける程度だったらしい。少なくとも「かなり」と呼べるほど顕著でなかったことは、三人のリアクションからも明らかであった。

「で、横槍入れられちゃったわけだけどどうする?」

「私は止めませんよ? 興味がないわけではありませんし、優希以外もそういった暴露話なんかありそうじゃないですか」

「残念ながらこの中で経験あるのは私と優希ちゃんだけよ」

「そういや楓って、エッチとかしたこと、ある?」

 恐る恐る、といった様子の夏希の問いかけに顔色一つ変えず、ないと明言する。相手もいないのにどうやって経験するんですか、等と返していたが、開き直っている、という風には見えなかった。

「まあ相手がいたらしてるのかと言われると、それはそれで微妙なところですけどね」

「進んでりゃ良いってもんじゃないけど、思ったより健全な付き合いしてんのねー」

「それはまあ、高校生ですから」

「興味はあれど、ね。プラトニックな恋愛なんて歳食ったら中々できないし今の内に楽しんどきなさいな」

「締めようとしているところすみませんが、その」

 言い淀んだ楓の視線の先には、顔を伏せ低く響く声で笑う優希の姿が。死なば諸ともといったところだろうか、どうやら他の面子にも相応の恥を掻かせないと気が済まないらしい。

「あの、優希?」

「……なに?」

「き、キリもいいところだしこの辺りで終わっとかない? ほら、日向ちゃんとかユーリちゃんもいるし……さ……」

「じゃあ夏希が何か恥ずかしい話でもしてくれるの?」

 ちょっと待って、と言ったところで意味はなかった。

「まあ本番がまだったって一人遊びくらいはしたことあるでしょ」

「喋れと? 彼とのエッチがどうこうより格段にハードル高くないです?」

「いやー、大体経験済みだろうしむしろ喋りやすくない? 自分一人の話で完結するでしょ?」

 どうやらこの大人は楽しければ特にどういう話だろうが気にしないらしいと、今更ながらに夏希は痛感した。そして、年少者二人が尚更逃げられなくなったことも。

「やっぱり手? さすがに道具使ったりは上級者過ぎるでしょうし」

「イヤなんで私からなんですか」

「優希ちゃんからは聞いたことあるしねえ」

「……優希あんた」

「言わないで。捕まった時点で負けなの」

 え、そんなに? と夏希の疑問も束の間、ずずい、と遥の姿が迫る。既にガッチリと首に腕を回され、、逃げることすらままならない。

「ほれほれ言っちゃいな? それともまだだったりするなら、お姉さんが教えたげるわよぉー」

「お酒くさっ?! ちょっとこの人泥酔してるんですけど! てゆーか助けて!」

「……骨は拾います」

「薄情者ー!!」

 遥の意識が完全に夏希に向かっているのを確認し、優希は席を移す。

「実際のところさ、楓とかはどうなの?」

「……まあ、指、ですねえ。そんなに突飛な趣味もしてませんし」

「だよねえ。色々あるらしいけどちょっと恐いよね、道具とか」

「白銀さんともそういう事はしないんですか?」

 楓の問いに「しないしない」と笑う優希。日向やユーリの方はといえば、さして多くない知識なりに思うところはあるらしく、互いに顔を見合わせ、考え込むような仕草を見せる。

「二人は? 好きな人のこと考えて、とか」

「あ、いや私はその……ねえ……」

 真っ先に反応したのはユーリ。複雑そうな表情になったあたり、行為そのものか、もしくは「好きな人」に引け目を感じたのかもしれない。それを察したか、優希は楓へと視線を写す。

「ねえ、と言われても。とはいえ頻度が多いとかも無さそうですね」

「そりゃ流石にユーリの歳でそこまで旺盛だと焦るよ私」

「週何回位です?」

「ストレートに行くなぁ……」

 呆れたような表情の優希を余所に澄ました顔で問いかける楓。ユーリはああでもないこうでもないと一通り腕をばたつかせ、項垂れた。恐る恐るといった様子で立てられた指は、三本。

「三回?」

「あ、うん、ごめん……」

「えっちょっとなんで謝られなきゃならない訳?!」

 神妙な顔つきで頭を下げる優希に思わず反応する。

「いや、なんか思ったより多かったからつい」

「え……多いの、私?」

「えっ、だって週一位じゃないの? 楓は?」

「二週に一度か二度くらい、ですかね」

 返ってくるのは自身よりも明らかに少ない回数。個人差の大きい話だと頭では分かっていても、やはり思春期の少女等にとっては少なからずの衝撃があるらしい。
 特に他者からどう見えるのか、自分が特別いやらしいのではないかという不安に対しては過敏であった。

「……なんか泣きたくなってきた」

「うん、なんか、ホントごめん」

「私の事はもう良いでしょ……日向はどう?」

「いやー私はちょっと多いかも……」

「多いかも、ってどれ位?」

 優希の問いに少し考える素振りを見せたのち、親指を除く全ての指を立てた右手を小さく上げる。
優希、楓、ユーリ共に唖然としたような表情を浮かべ固まっていたが、初めに自我を取り戻した優希が、再び問いかけた。

「……月?」

「……週です」

 楓、ユーリが顔を見合わせ複雑な表情を浮かべる側で、頭を抱える「兄の彼女」の姿があった。

(ブラコンってかもう御月よく無事だなあ……)

「そういえば、夏希は……」

「あーもー勘弁してくださいよー!」

 楓の言葉を遮り響く声。振り向いた先には、優希らの方を一切気にすることなく、執拗に夏希に絡み続ける遥の姿があった。

「ガード固いんだからぁ、そんなんじゃ意中の男に逃げられちゃうぞー?」

 ぎくり、と夏希の肩が跳ねる。やはり気にしていたのか、恐る恐るといった様子で遥へと向き直る。

「や、やっぱり固すぎますかね私……」

(騙されてる! 騙されてるよ!)

(あー、夏希が堕ちそうですねえ)

「……助けないの?」

 ユーリの問いかけに否定を返し、飲み物を片手に縺れ合う二人の様子を眺める優希と楓。夏希が涙目になっているのは目に入らないらしい。

「女の友情って……」

「いや、だってああなると放置安定だし」

「まあその内遥さんが潰れそうですし、その後でも別に」

 特に目立った反応を見せることもなく淡々と二人は続ける。優希はもとより、楓の方も夏希に比べて遥をよく知っていたため、この辺りの判断も手慣れた様子だった。

「……そうなの、日向ちゃん?」

「まーね、絡み酒入ったってことは大分回ってるみたいだしその内潰れると思う」

「その内って?」

 黙ってそれぞれに視線を逸らす三人。その姿を見て、あと数十分は絡まれ続けるんだろうな、とユーリは悟った。
 そして、その予感は見事に的中したのであった。



「ただいま、って何だこの状況……」

「どした白銀……おおう」

 しばらく後、西陽の差す中リビングへ足を踏み入れた御月と秋人の二人が見たのは、すっかり酔いつぶれて眠っている遥と、夏希に土下座させられている優希等の姿、そこに年少者二人の姿はなく、御月の声を掻き消すようにバタバタと階段を駆け上がる足音が聞こえた。

「何してんのよお前ら……」

「おかえりー……まあ、色々あってね、うん」

「色々って……ていうか姉貴また潰れてるじゃねーか……」

 小さくため息を吐き、荷物の整理もそこそこにだらしない寝姿の姉を抱き上げる御月。よくある事なのか、一連の動作には迷いも見られない。

「手伝おうか?」

「こっちは平気だし、片付けの方任せていいか?」

「おっけー。じゃ楓も手伝って」

 言うが早いか、腰を上げて空き缶や菓子袋などのゴミを手早く片付け始める優希と楓。夏希は秋人と共に飲み物のグラスなどを下げ始めていた。

「悪い、先に姉貴部屋に寝かせてくる」

「あ、うん分かった」

 遥を抱えて階段を上がっていく御月を見送り、再び後始末を始める優希。

「相変わらずと言うか、手慣れてますね」

「まあしょっちゅうだしね。日向ちゃんが影響受けなきゃいいんだけど……」

「その心配は無いとは思いますよ。とはいえ白銀さんも面倒見良いというか」

 愛想が尽きたりしないんでしょうか、などと二人冗談混じりに笑う。

「ていうかよく人一人抱えて階段上がれるよね」

「意外と力持ちなんでしょうか」

「まあ確かに着やせする方だけど……」

 その台詞の終わらない間に背後から肩を力一杯掴まれる。そして。

「体育も水泳も男女別なんだけど何処でそんなこと知ったのか是非教えてほしいなぁ?」

「な、夏希……ほら片付けもあるし香椎も御月も居るわけだしさ……」

「場所変えよっか!」

「そうじゃなくて!!」

 いつの間にやら片付いてしまった部屋の奥へと、両脇を抱えて引きずられて行く優希。それを見るともなしに見送り、ソファに腰掛ける。隣には、同様に所在無げな秋人の姿。

「着いていかないんです?」

「無茶振りもいいトコだなおい」

「冗談ですよ。というか夏希がちょっと不安そうだからつい」

 眉間に皺が寄る。なんとなく分かってはいるものの、といった所らしく、なかなか動くに動けないらしいことが見てとれた。

「いやー、自分の身になってみると白銀の事どーこー言えねえわ。愛想尽かされないように気つけないとな」

 そう呟き、小さく伸びをする。応援していると付け足し二人の元へと向かう楓を見、ヒラヒラと手を振り応える。楓自身、そういったことを全く気にしていないとはいえ、自分の事はどうした、とは流石に言えなかった。

「女子ってのも大変なのな……」



「……ったく、休みだからって夕方から酒飲んでるなよ」

「ごめんねー……ついつい空け過ぎちゃってさあ」

 ベッドに寝かされ、小さく唸り声を上げる。随分酔いが回っているのか、体を起こすのも一苦労といった様子。

「ああ起きなくていいって。どうせ飯時まで寝てたらある程度醒めるんだろ?」

「おう、任せなさいって。お姉ちゃん回復早いのが自慢なんだから……あいたた」

「氷いるか?」

「んにゃ、平気ー……御月ー」

 不意に袖を掴まれ、再び顔を寄せる。

「愛してるー」

「いや、そっちは彼氏にとっとけよ」

「彼には余るほど言ってるから良いのよー……」

 言い終わらない内に台詞が寝息へと変わる。眠りに落ちたことを確認し、静かに体を起こそうとしたところ、再び袖が引かれた。どうやら掴んだまま眠ってしまったらしい。少し悩む素振りを見せ、やがてベッドの傍に腰を下ろす。そして、小さくため息。

「飯の準備までだからな」

―fin―
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