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第十章。

久し振りの更新&進行。とりあえず折り返し地点に到着、といった具合でしょうか。
特別捻った展開などはご用意出来ない、そんな感じです。
「ナインボール? これまた随分とユニークな名前ですね。」

 そう笑う射命丸に対して曖昧な返事をするエヴァンジェ。
 いくつもの文献に記載されるほどの強者であり、当時数多くの傭兵達を擁していたレイヴンズ・ネストの主力。ネストを管理していたAIによって量産され、操られていたとの噂などもある。万が一噂通りの無人兵器であり、この地でインターネサインを母体としているとすれば、これ程までに驚異となるものもそうない。

「名前ほどユニークなヤツだったらどれほど有難いだろうな。」

「……詳しい話を。」

「……聞きたいか?」

 エヴァンジェの問い、互いに嫌な質問だと思う。彼女は新聞屋だ、決定的な危険を嗅ぎ分けられる程度の嗅覚は備えていたし、立場を弁えていたからこそ此処まで齢を重ねた。
 そして、その嗅覚が全霊を以て彼女に告げていたのだ、踏み込むな、離れろ、と。

「……はっ。」

 そう、射命丸文は新聞屋なのだ。今回ばかりはその嗅覚に従うわけにはいかなかった。すくんだ心を嘲笑い、見るべきものを見据える。

「まだ踵を返すには早すぎますからね。」

「そうか。」

 今回の相手はヒトや妖怪などではなく、意思を持たない機械である。知りすぎたからどうだと、踏み込みすぎたからどうだというのだ。ともすれば蛮勇とも取られかねない感情が根底にあったのは確かだが、それ以上に、新聞屋としてではなく、烏天狗としての射命丸文が、「まだ踏み込める」という確信を持っていた。

「とはいえ、我々にとっても過去の存在だ。パルヴァライザーなどと同じくAC以上の技術によって産み出されたこと、その当時レイヴンを管理していた組織、レイヴンズ・ネストの手により量産されていたこと、『セラフ』という名の強化機体が存在していたこと。」

 資料が存在していたのはこの程度、そう言ってため息をつき、少しの間をおいて我々にとっては伝説のようなものだ、などと小さく笑う。どこか子供じみた表情、その瞳がわずかに翳った訳に、少しの会話を経て射命丸は気付いた。

「『神話の御世において、神とは力である』そんな世界に居たにしては無邪気な顔をするんですね。伝説や神話なんて、あなた方にとっては眉唾物もいいところじゃないですか。」

「大多数が知り得ない偉業は、眉唾物という意味なら大体同じようなものだ。」

 大多数だった、と。射命丸の言葉に、今も似たようなものだと、自嘲気味に話す。

「そういえば、しばらく前に貴方と同じような傭兵を見ました、彼等は鴉ではなく山猫でしたけれど。……ネクスト、というのは御存じですか?」

 少女が言うには、それもACと呼ばれる機動兵器の一種であるらしく、エヴァンジェ等の物とは別物と言えるほどの異形がいたという。そして、ある意味で一番の差違と言えるのが搭乗者であり、彼等はリンクスと呼ばれていた。

「……いや。」

「そうですか。まあ既に去ってしまった方の話をしても仕方がないかもしれませんが。私には貴方が彼らと同じ首輪……いえ、鎖に囚われているように見えます。」

 何が言いたい、そう問いかけるも答えはなく、天狗の少女は小さく息をついた。

「もっとも、彼は首輪の持ち主を自分で選び、鎖に繋がれていたことを誇りとしていましたが。……それが山猫としての矜持なのでしょうね。」

 ただ、我々が見かけたのはジャック・Oに輪を掛けて面妖な姿をしていましたが。と呟いた言葉は、誰に聞かれるでもなく消えていた。

「……私には関係の無いことだ。」

「そうですね、少し僭越でした。それはそれとして、下の二人は何か見つけられましたかね?」

 どうだろうな、と。そう答えはしたが、視線は依然として手元の端末へと向けられていた。言うなれば彼女らは、ACや、その周辺に関する知識については門外漢である故、良くて「この地にはなかった何か」を見つけられる程度だろう。
 そして、その「何か」が大きな意味を持つことを、二人は数分後聞こえた呼び声によって知ることとなった。



 博霊神社境内。データの回収作業を終えたにとりと合流した魔理沙らは、萃香が分解した機動兵器の側にいた。

「……それで、こっちで引っこ抜いたデータなんだけど、インターネサインとは別の施設の事が書いてあったよ。」

「どういう事だ? ガーディアンもインターネサインを母体にしてるって話だったろ。」

「前提条件が崩れたのか。で、その施設とやらの詳しい情報は?」

「前提条件はあくまで推測に過ぎなかった話だからね。ただ、いくつかのパターンを想定していなかったのは手落ちだけど、そこは気にしてても仕方がない。」

 にとりの自嘲めいた言葉を受け、更に続きを促す。掌ほどのタブレット端末を手に一呼吸し、話を続けた。

「ただ、これに関してはそんなに悪い話じゃないよ。ガーディアンの製造元と思われる施設はデータを見る限り他にあって、その施設と戦闘データのやり取りが行われた形跡もない。要するに、アレはパルヴァライザーとは全く別のモノだったってこと。」

「じゃあ、何で霊夢達とやりあったんだ?」

 はっきりとは言えないけど、と言葉を濁しながらも、彼女は魔理沙の問いに対して『インターネサインならびにパルヴァライザーとの接触を断つため』に存在していたのではないか、と答えた。

「どうやらあの兵器群は、かなり長い間機能を停止していたみたいなんだ。外部からの干渉が原因でインターネサインが再起動しちゃったらしいね。」

 多分ガーディアンもキーの一つだったんじゃないか、という言葉にしかめっ面を浮かべる数人だが、にとりは全く気にする素振りを見せない。

「一定のテリトリー内をレーダーで索敵、ACやそれに近い熱量を敵性と認識して攻撃を加えるように組まれていたみたいだ。こっちに機体だけ流れてきて、残ったエネルギーで向こうにいた時と同じプログラムを実行していたに過ぎない、ってところかな。だからいいニュースと悪いニュースが半分、って訳。」

「結局インターネサインの場所は分からなかった、っていう事か?」

「そうなるわね。内部構造でも分かれば良かったんだけど。」

 だったら。そう言って鬼の少女が指差したのは、四肢やその武装全てを分解され、胴体から上だけになって打ち捨てられていた人形だったもの。萃香が倒したパルヴァライザーの残骸であった。

「こいつを調べればいいんじゃない?」



「どうした?」

 二人の声に返事をし、粗方データを取り終えたパルヴァライザーの亡骸から飛び降りる。射命丸の小さな驚きの声も聞こえない振りをしながら、妖精が指差す場所へと向かう。

「?」

 射命丸、そしてエヴァンジェの瞳に映ったのは、鮮やかに彩られたシルエット。妖精メイドの方を振り返り、はじめてそれが彼女によって行われていたことを知る。

「お前も変わった能力を持ってるものだな。」

「色を操る程度の能力、弾幕勝負では使いどころがないのであまり使ったことはないのですけど……」

「かわせない弾幕はルール違反、ですからねえ。」

 御丁寧に色を変えて目立たせてくれたお陰もあり、二人は迷うことなく動かなくなったそれの傍へ辿り着いた。光を放つこともなく佇んでいたのは、名称不明、特攻兵器と呼ばれていた機体であった。

「起爆にでも失敗したのか……。」

「起爆、ですか?」

「ああ、コイツは言うなれば、敵に向かって飛来する爆弾のようなものでな。自爆する以外に攻撃手段がない。」

「起爆に失敗すれば、コレの様に地面に叩きつけられるだけ、と。」

「落下の衝撃が原因だと思いますけど、どうやら機能不全に陥っているみたいですね。ただ、攻撃されても困るので、一撃叩き込んでしまいましたが……。」

 ばつが悪そうに笑う美鈴に呆れたような視線を向ける射命丸。少々険悪な空気を滲ませる二人を気にすることなく、特攻兵器の装甲を剥がしてゆく。やがて、炸薬の積まれたコンテナを見つけ、本体から切り離す。ひとまず、爆発の危険性はなくなった。

「ふむ……」

「何か分かりそうですか?」

「データ次第だ。」

 コツコツとモニタを叩きながら、動くことの無い鉄の塊を眺めていたエヴァンジェの動作が、不意に止まる。その目に映ったのは、反撃の狼煙。
 蟻の巣の様に入り組んだ地図情報が、目の前の個体が生産されたであろう区画のマーキングと共に表示されていた。
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