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第八章。

久方ぶりの投稿ですね……。とりあえず色々描いたり作ったりしています。

今回はパルヴァライザーVS萃香戦からとなっております。



 耳をつんざく轟音。小さな百鬼夜行、伊吹萃香は、その手に確かな手応えを感じた。

「……金属、それもかなりの密度と。」

 開いた右手には、赤色の金属片が一つ。攻撃の際、力を使って剥がしたものだ。

「ちっ、密度もそうだけど、別の力の流れが邪魔してバラせたもんじゃないね。」

 そんな簡単に散らしてしまえる程度のものならば、あの館の主も苦戦してはいないだろう、と考える。ぞくり、背中を走る悪寒に突き動かされ跳ね退くと、先まで居た場所が火の粉を上げて抉られた。
 超高速の熱線を掻い潜り、再び最接近。右足に力を集中し、巨人の足首に当たる部分へ向けて蹴りを放つ。

「……くそッ……!」

 装甲表面にできた窪みに思わず舌打ちが出た。転がしてやることも簡単ではないのか、そう毒づいた一瞬、反応が遅れてしまう。
頭上から吹き付ける焔。攻撃のためではなく、足元に潜り込まれたままの状態を脱しようと噴かしたブースターに飲まれ、萃香の姿が消えた。

 レーダーにも、カメラにも、その姿が映らないとみたか、神社に向け、その砲を構えた直後。

「そうやって動きを止めるのを待ってたんだよ!!」

 視界を塞ぐ菫色の布地。零距離、攻撃態勢での最接近。渾身の力を込めた拳を叩き込むその刹那、「何か」がこちらを捉えた。

「なっ……?!」左肩を掠め、髪を巻き込んで放たれる蒼い閃光。イクシード・オービットによる自動迎撃が、彼女の姿勢を崩す。
咄嗟に体勢を立て直し、再び霧散してパルヴァライザーの攻撃を逃れた。

「……掠めただけで大火傷って……なんて威力だよ……。」

 かちかち、と小さな音が耳に入る。寒気、鳥肌を伴い萃香を襲ったのは、異質な存在に対する根源的な恐怖。一歩また一歩と近付く死の恐怖が、精神的余裕を守ってきた鬼を、今にも飲み込まんとしていた。

「……っぁああああああっっっ!!!」

 大きく息を吸い、そして咆哮。右腕と、痛みで麻痺した左腕とを強引に振り上げ、両の拳を大地に突き立てる。確かに、これだけの相手を何の搦め手も無しに直接分解することは不可能に近い。

 たとえ金属であっても萃めたり散らしたりは可能だが、戦いながらそれをするには、力の流れを阻害する防御スクリーンと、機体上面をカバーするイクシード・オービットの存在が邪魔であった。
そして選んだ手は一つ。相手の足元の地面を広範囲にわたり分解し、姿勢を崩すこと。転ばなくても、体勢の立て直しに気を取られればそれでよかった。

「……っ」戦ってみてハッキリしたが、コイツに「感覚」というものは存在しない。現に体表に傷を与えようが足首に蹴りをくれようが、痛がる素振りも、傷口を庇うような仕草も見せずただ平然と反撃をしてくる。

 ブースターを噴かし姿勢を整えるパルヴァライザーの足元へ三度飛び込む。レーザーを掻い潜り、ブレードをかわし、下から胸部に手を触れる。防御スクリーンの力の流れを捉えたその時、勝負は決した。

「密と疎を操る。伊達や酔狂で鬼を名乗っちゃいないよ。」

 数秒後そこには、崩れ落ちる金属の塊を背に見て笑みを浮かべる鬼の姿があった。



「魔理沙だ。終わったぜ、萃香がパルヴァライザーをやった。」

 無線機を片手に、博霊神社を窺う魔理沙の姿。早々に到着したはいいものの、相手を殺す事だけを目的として放たれる砲火、その桁違いの破壊力に足がすくみ、ただ隠れているのがやっとであった。
 しかし無理もない。鬼の様に規格外の存在であったり、飛び抜けた回復力、頑丈さなどを持ちあわせる戦闘能力の高い妖怪であればともかく、魔理沙は魔法使いとはいえ人間である。
たとえ速さがあろうと、掠りでもすればその時点で終わりなのだ。そんな中に無警戒に飛び込めるほど、彼女は馬鹿ではなかったし。「出ていくだけ無駄なこと」が解る程度には、彼我の力量差を的確に捉えていた。

「ちょっと待って、本当に?」

「ああ……アイツ、最終的に一発でバラしちまった。」

 無線機の向こうから溜め息か聞こえる。出鱈目だと呟く声に全くもって同感だと返し、境内へ視線を戻す。

「……加勢してくれると思ってたんだけどね。」

「冗談。あんなのと殺し合いできるほど頑丈じゃないぜ、私は。」

 分かりきっていた事ではあるが、弾幕ごっこでは強くとも、人間である霊夢や魔理沙らがパルヴァライザーやガーディアンと事を構えるのは自殺行為だと、この一戦で萃香は確信した。

「冗談だよ。霊夢ほど特殊な力があっても、人間にやれる相手とは言えないね。並の妖怪でも似たようなものじゃないかな?」

「いよいよもってえらい事になってきたな……。ところでその霊夢はどうしたんだ? さっきのジナイーダとかいうのも居ないみたいだが。」

「……あれ、そういえば……おっ。」

「ん?」

「あら、終わってたのね。」

 声に抑揚もなく、さも当たり前の事のように話す霊夢の姿。どうやら屋内に居たらしい。ただ、物音や振動に反応して出てくるには遅かった。

「何やってたんだ?」

「ちょっとね。魔理沙は当然知ってると思うけど、あのACって人形は連続して戦わせられないから、とりあえず様子見、ってところ。」

「ああ、なるほど。こっちでもにとりが手を焼いてるよ。」

 資材がない、弾薬がない、燃料がないと三拍子揃った現状である故、もといた世界の感覚でACを乗り回そうものなら、瞬く間に独活の大木と化してしまう。

「流石にあんなのの武器とか装甲なんて用意できないしねぇ。」

「……だよなぁ。」

「で、その河童はどうしたんだい。いくらなんでも人間一人置いて逃げ帰ったわけじゃないだろ?」

「ああ、アイツにはガーディアンを調べてもらってる。五分程度って話だし、そろそろじゃないか?」

 無線機を手に二つ三つ、会話を交わしたのち、黒白の少女は不敵な笑みを浮かべた。



 結局お屋敷に戻る形になってしまいましたね、と苦笑いを浮かべる隣の華人を横目に見ながら、彼はもときた道を歩いていた。表情こそ日陰になっていて窺うことはできないが、少なくとも上機嫌ではないことは見てとれる。

「……それは別に構わないが、原形は残っているんだろうな?」

「ええと、多分。あの時は無我夢中だったので。」

「何か情報が得られると良いのですけど……やはり、人形も頭部に情報が入っていたりするのでしょうか。」

 自らの機体を鑑みても、そう考えるのが自然だと思う。ただ、美鈴に聞かされた話では、その頭部や上半身に風穴を開けたとの事であったし、データが手に入る可能性は低く感じられた。ともあれ、行ってみなければ始まらないというのが現状なのだ。選択の余地はない。

「……何が目的かは知らないが、我々をつけ回したところで別段愉快な物は無いと思うぞ。」

 これで二度目だろうかと、足を止めて虚空に呼び掛ける。先程からずっと、三人以外の反応がレーダーに映っていたのだ。だが一定の距離を保つばかりで奇襲をかけてくるわけでなく、動きらしい動きもなかったが、個人としての性格上無視は出来なかったし、不確定要素はなるべく無くしておきたいのであった。

「あややや、見つかってしまいましたか。」

 聞き覚えの無い声と、記憶に新しい高下駄の音。かつん、とそれを鳴らし、一瞬のうちに三人の正面へと降り立ったのは、黒髪、黒い翼の、山伏衣装の名残が見える装束に身を包んだ少女であった。

「もう少し位は近付けないかと思っていたのですが、どうもずっと気取られていたみたいですねー。これは失敗。」

「……知り合いか?」

「……ええと、一応。」美鈴の言葉を聞き、ぴくりと眉がつり上がる。格好を見る限りでは、椛と同様に天狗と呼ばれているものかと思ったものの、羽や耳などの差違から、判断を下せずにいた。

「ふむふむ。その姿を見る限り、貴方も彼らと同じ『ワタリガラス』のようですね。これで四人目でしょうか。」

 その台詞一つだけで、これほどまでに相手を胡散臭いと感じられるとは思ってもみなかった。当たり前の話であるが、世界も違えば文化も違う。
 そのような者がなぜ、我々を指して『ワタリガラス』と言ったのか。この疑問に関しては直ぐに、美鈴の口から解答が得られた。

「彼女は射命丸文。自称新聞屋のパパラッチ天狗です。」

「……なるほど、新聞屋か。」合点がいった。新聞屋、それもパパラッチなどと呼ばれる手合いならばこの手の騒動には目敏く反応するだろうし、それなりの情報網も持ってはいるだろう。
 そして、エヴァンジェを指して『ワタリガラス』と云う程に、こちらの事情を押さえているのならば。

「射命丸と言ったな。聞きたい事がある。」

「……高いですよ?」
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まとめ【第八章。】
久方ぶりの投稿ですね……。とりあえず色々描いたり作ったりしています。今回はパルヴァライザーVS萃香戦 まっとめBLOG速報[2012/11/25 17:45]
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