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第七章。

とりあえず隙を見てボチボチと進行中。

前回の続きとなっております。





「お前達は……?」

 背後から聞こえた、覚えのある声に反応し振り返る霊夢。
その先に立っていたのは、齢二十半ばと見える短髪の女性。服装を見る限り人里の者でも、そもそもはじめから幻想郷に居た者でもなさそうだ。
憮然とした表情を浮かべ、機嫌のよろしくない様を存分に見せつけてくれているが、それに退く者とて、その場には居ない。

「ただの知り合い。何か用事?ジナイーダ。」

「いや。表が騒がしかったので様子を見に来ただけだ。」

 ちらと視線を向けるが、視線があった白黒の少女が手を振ると、何事もないように視線を外す。
魔理沙は一度、喧嘩を売られているのかとも考えたが、どうやらそもそも「他人」に興味が薄く、さほど信用しない質らしい。
軒先を借りているであろう霊夢相手でも大して愛想がよくない辺りは、筋金入りなのだと見える。
 だが、かといって、ハイそうですかと引き下がる魔理沙ではなかった。

「ジナイーダ、だったか。」

「そうだが。何か用か?」

「いやいや、随分と大暴れしてたみたいだから気になったんでね。」

 そう遠くない場所に住んでるこっちとしては、巻き添え喰わないかヒヤヒヤしてるんだぜ? と茶化すように両手を広げた。
そもそも他人と関わる事を是としないであろう人間相手なら、好印象である必要はない。
冷静さを欠いた時に人の口は軽くなるものなのだから、少し挑発してやろう。
少女にとってはその程度の認識、魔理沙はこの女性に縁を見ていなかった。
 そうしてジナイーダの眉間に皺が寄ったと見るや、つかつかと靴をならし女性へ近寄る。

「……で? 何が言いたい。」

「何、あの化物について知ってることを教えて欲しいってだけだ。」

「別に、教えるような事は何もない。」

 小さく一息。

「そうかい……共同戦線ってのも考えたんだけど、好かないだろ?」

「……そうだな。」

「どうして?」

 「レイヴンだから、ね。」河童の問いに答えたのは、何処か醒めた瞳をしていた紅白の巫女。
ジナイーダと呼ばれる彼女が、そう在ろうとしているのか、はたまたそうあろうと『していた』のかは二人には判らず、ただ去ってゆく後ろ姿を眺めるのであった。

「……わけがわからん。」

「ま、何か思うところがあるんでしょう。まあ目的は変わらないから、敵になる事はないと思うわよ?」

「霊夢はどうするの。」

 河童の言葉を聞くともなしに、ジナイーダが去った境内へと視線を向ける。

「うーん、ワタリガラスの面倒、見なきゃいけないからね。」

「そう。……ところでさ、二人がその『ガーディアン』っていうのとやり合った場所を教えてくれないかな。」

 別にいいけど、と面倒臭そうに頷き、破壊された鳥居の先、荒れた森林を指差す。
大型の兵器での戦闘行為だったのだから、一見して異常が判る程度の傷跡が残っているのも道理。
それ故、早々に自身の注意力の甘さを恥じる事となった二人であった。

「……はぁ。」一言二言会話を交わし去ってゆく二人を見やり、三度神社に視線を移しての溜め息。
気紛れな天人に神社を倒壊させられ、それが直ったかと思いきや得体の知れない機械人形の出現である。
 異変とも形容しがたい異変、そして何より相次ぐ神社の被害に、少女の我慢も限界に近付いていた。

『面白いことになってきたみたいだね。』

「わざわざ思わせ振りなことしてないで出てきたら? 萃香。」

「よっと。……機械仕掛けの化け物とは、腕が鳴るじゃないか。」

 勘弁してくれと言わんばかりに大袈裟な溜め息をつく。
目の前の鬼、伊吹萃香が何と事を構えようが勝手だが、それによって神社に『これ以上』被害が及ぶ可能性だけは限りなくゼロに近づけなければならない。
霊夢としてはこの好戦的な少女には余り前へ前へと出て欲しくないのが正直なところである。

「それは相手の化物に言ってくれるかな。私が戦う場所を選ぶワケじゃないし。」

 かといって、この少女の言う通り戦場を選ぶ立場に自分達が居ないことは解っている故に、出てくるのは溜め息ばかりであった。

「ついでに言うと、時間も選んでくれないってね。」

「……まったくもって傍迷惑な存在ね。」



「よっと。剥がすのも一苦労だぜ、これでいいのか?」

 博霊神社を少し外れた森の中。魔理沙の手に抱えられていたのは、煤けた合金の板切れ。残っている塗料から外装パーツの破片だと思われた。

「装甲板かな? 役に立ちそうだ、ありがとう。」

「でも、これで何がわかるんだ?」

 背中に背負っていたリュックから幾つかの機材を取り出し、魔理沙から手渡された金属片を調べる。

「うーん、素材がわかれば装甲の厚さと合わせて最低限必要な火力の予測がつけられるからさ。」

「へえ。」

 ただ、アーマードコアと類似した技術が使われているなら装甲とは別の防御システムがあり、そちらの性能に影響を受ける可能性は高いと言い切る。

「あくまで目安だね。一撃の威力は高いに越したことはないけど、連戦を考えると……」

「丁度ブチ抜ける位で消耗を抑えたい、だろ?」

「そう。それで、仮に相手もACと同じ防御スクリーンを搭載してると仮定するなら、レーザーなんかと同じように熱量で装甲を溶かす方向だと厳しいかもしれない。」

「んー……どういうことだ?」

 にとりが言うには、アーマードコアの防御スクリーンは、レーザーやプラズマ兵器の被弾による熱量を遮断する為の補助機構であり、質量を受け止めるという点に関しては、あくまでおまけ程度のものだとか。

「つまり、マスタースパークとかで致命傷を与えたかったら、熱で焼くんじゃなくて単純な出力で吹き飛ばさなきゃいけないってこと。」

「焼くのも溶かすのも期待薄、って事か……。」

「そうなるかな。さて、装甲材も手に入ったし……ん?」

 立ち上がり振り返った先に見えたのは、ガーディアンの上半身。両腕があった場所はもがれ、頭部の形が辛うじて見える程度の損傷。
そして、そのスリット状のカメラアイが、光を浮かべたように見えた。

「どうした?」

「ちょっと忘れ物。もしかしたらインターネサインってやつのデータがあるかもしれない。」

「本当か?!」

「てっきり完全破壊されてるかと思ったけど、電子機器周りのパーツが残ってそうなのは運が良かったね。」

 言いながら、手早く配線を組み込み、自前の端末とガーディアンの頭部とを繋いでしまう。
モニタには高速で流れる英数字の羅列、機械に聡いとは言えない魔理沙にとって、彼女が何をしているのかすら解らない為、大人しく待とう、と。
 興味を持つ事を諦めた。

「どれ位掛かりそうだ?」

 そして少女に背を向け、ふと博麗神社の方へ視線を向けた直後、背筋が凍り付くという感覚をその時初めて身をもって知る事となった。

「……とりあえず全部ぶっこ抜くから、だいたい十分。」

 そうか、なら早くしてくれ。そう言おうとした魔理沙の声は、にとりに届くことなく、轟音に掻き消されるのだった。

「何っ?!」

 慌てて背後に視線を向ける。先程と変わらぬ姿で佇む魔理沙に一先ず安堵したものの、すぐにそれどころではない状況であることに気付いた。

「……神社の方だ、噂をすればなんとやら、ってか?」

「煙が出てる……様子を見てきた方が」

「私が行く。姿が見えなくなるヤツあったよな、アレ今持ってるか?」

 残念ながら持ってるよ、と小型の装置をリュックから取り出し、魔理沙へと手渡す。

「なんで残念ながら、なんだよ。とにかく、お前はそのデータとやらが手に入ったら一度知らせてくれ。」そう言ってポケットを叩く。
その中には、いつぞやの紅魔館襲撃の際に渡された通信機が収まっていた。



「ちっ……紅魔館の連中が手こずるわけだ。」

 忌々しげな舌打ち。咄嗟に熱量を散らしたものの、捌ききれなかったレーザー照射の煽りを受け、衣服に火が移っている。

「随分と悪趣味な色しちゃってさ、気に食わないね。」

 服に着いた煤を払い、挑発的な笑みを浮かべ眼前の巨体を睨み付ける。
不意を突かれたにもかかわらず、身体には然したる傷がない辺りは『密と疎を操る程度の能力』の面目躍如といった所だろう。
事実、この力を使わなければ、早々に腕の一本を容易く失っていた。

「……」

「っ」目の前の巨人は咆哮を上げるわけでもなく、ただ足元に佇む鬼を排除せんと、その両の腕を掲げた。

「このっ……!!」

 直後、熱量と光を伴って降り下ろされる剣を模した腕。その上腕部を蹴り、頭部へ向けて飛び込む。

引いた右腕に意識を集中、萃めるのは岩石で構わない。

「さあ、小手調べといこうじゃないか!!」
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まとめ【第七章】
とりあえず隙を見てボチボチと進行中。前回の続きとなっております。 まっとめBLOG速報[2012/11/25 17:45]
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