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第六章。

えーと、かれこれ二ヶ月ぶりの更新となってしまいました。
久し振りのLR隊長幻想入り、第六章です。





「随分と愉快な趣味だな、ジャック。」

 白狼天狗の少女に案内された先に在ったのは、バーテックス主宰、ジャック・Oの乗機『フォックスアイ』。

自身のオラクルもそうであったが、あの二十四時間の激戦を経たにもかかわらず目立った損傷はなく、補修の跡が見えるのはブースター基部程度。そしてそれは、『力ずくで』引き剥がされたと思しきフレームの歪みだった。

「……笑えない冗談だ。」

 エヴァンジェの言葉に、意図的に不機嫌そうな表情をつけた応えを返す、体躯の良い山伏装束の男。その頭部には、バケツ頭と呼んで相違ない仮面。
どうやら、紅魔館の連中の話は本当だったらしい。

「しかし、貴様も来ているとは…いつからだ?」

「…まだ二日と経っていないな、昨日の早朝だ。」

「私より先に死んだはずだが……」

 言いかけて、そういうこともあるのだろうな、と自身を納得させるかのように呟く。「私より」と言ったところを見るとどうやら、眼前の男も死んだと思ったら幻想郷にいたようだ。

「あれ、お客さんかな? 口ぶりからすると彼の知り合いみたいだけれど。」

 機体の陰から、機械油に汚れた顔が覗き込む。

「まあ、そんなところだ。お前こそ、ジャックの知り合いのようだが?」

「うん。趣味も兼ねて、コレの整備やなんかをやってるんだよ。こっちには無い技術力で造られてるから楽しくてね。」

「そうか、お前が河童の……」

 エヴァンジェの言葉に耳が小さく反応する。少女の目に警戒の色が一瞬見えるが、そばに居た美鈴を見てすぐに得心がいったのか、笑顔を浮かべて話しはじめる。

「ああ、そこの門番から聞いたのなら話は早いね。私は河城にとり、好きに呼んでくれて構わないよ。」

 ジャックの知り合いなら、コレみたいな人型兵器もあるんだろう? と楽しげに話す辺り、相当機械いじりなどが好きなのだろうと見える。そんなにとりの様子に若干腰が引けながらも、手短に挨拶を済ませた。

「……私はエヴァンジェという。」

「うん、よろしく。」

「ところでエヴァンジェ。わざわざここまで来たという事は何か目的があってのことではないのか?」

「ああ。にとりと言ったな、それとそこの……椛、だったか。二人も聞いていてくれ。無関係でいられるかは判らんのでな。」

 重い言葉尻に、思わず腰を下ろし彼の言葉を待つ二人。概要を知っている美鈴はひとまず周囲の様子を見てくると席を外した。

「その様子だと、お前も見た……いや、話を聞いたか。」

「ああ。……パルヴァライザーが、この地に来ているらしいな……。」

「…なんですか、そのぱる、なんとかって?」

「紅魔館と永遠亭、博霊神社に出たって噂の化物の事じゃないか? 霊夢がぼやいてたぜ、せっかく直ったところなのにまた建て直しか、って。」

訝しげな表情を浮かべる椛の頭上から降ってくる声。口調は男勝りだが、声色そのものは紛れもない少女のものであった。

「魔理沙?」

「よっ。面白そうな話してるじゃないか、私も混ぜてくれよ。」

「お前は?」

 口を開こうとした白黒の少女を遮り、横から河童の声が聞こえる。

「彼女は霧雨魔理沙。私たちと違って人間だよ、一応ね。」

「一応ってなんだよ一応って。……まあいいや、エヴァンジェっていったっけか、よろしくな。」

「ああ。それで、霊夢というのは? 博霊神社とやらも初めて聞く名だ。」

 エヴァンジェの言葉に顔を見合わせ、魔理沙が口を開く。今彼女らがいる地からそう遠くない場所に位置する神社であり、博霊霊夢という巫女が切り盛りしているそうな。

そして、その神社にも無人兵器などは現れ、ジャック等と同じアーマード・コアを駆る人物の手を借りてそれを倒した、ということらしい。

「全く……どうしてこう厄介な情報が重なる。」

「全く以て同感だが、お前の方でなにか掴んではいないのか?」

 エヴァンジェの言葉に、いいや、と首を振る。自身が直接やりあった訳でもなく、他の個体にしたって伝聞の域を出ない。

 ただ、それぞれの個体が出現した日時に差がある事、後に現れた個体は人間サイズの敵を想定した武装を備えていたとの事から、パルヴァライザーだけではなく、製造施設であるインターネサインも、恐らくはこの幻想郷の地にあるだろうという事。それだけが現時点での、二人の傭兵の共通認識であった。

「それで、どうするの? 人の意思が介在しない兵器なら壊すなりなんなりして機能を止めなきゃいけないわけだけどさ。」

「あの吸血鬼が腕一本持っていかれたんだろ? 殺し合いってなると私達の分が悪過ぎないか?」

「ああ。そのため、実働はACを扱う私とエヴァンジェ、可能であれば他の者の手を借りることになるだろうと考えている。」

 他の者、という単語に小さく反応を示す。
三人の少女の様子を見る限り、我々以外にも数名「同業者」がいる、と考えられた。そして少なくとも、目の前の男はその内の誰かと接触している。

「それでその、博霊神社以降はパルヴァライザーと言うのは出てきてるんですか?」

「いいや、聞かないね。霊夢にしたって異変とは訳が違うって渋ってるみたいだし、情報は少ないみたいだ。」

「こちらにも目新しい情報は来ていませんでしたね。上は危険度を考えて戦闘を控えるように、と言っていましたが。それだけです。」

 袋小路。どうやらこれ以上は外から動きようがないらしい。美鈴が戻った後、少しの相談を経たのちに、三組に分かれてそれぞれが情報収集を行う形となる。
ジャックと椛は永遠亭へ、魔理沙とにとりが博霊神社へ、美鈴とエヴァンジェ、妖精メイドは紅魔館より少し離れた森、彼女らが初めにパルヴァライザーとやり合った場所へと向かうのだった。



「でもさ、霊夢から何を聞き出すんだ? さすがに一回やりあっただけで正体なんかわからないだろ?」

「動き、戦い方が分かれば上等かな。あとは神社の周りを調べさせてもらう位がとりあえずの目的。装甲材か部品か、何かしら残ってれば役には立つからね。」

 そういうもんなのか、と不思議そうな視線を向ける魔理沙。ふと正面に向き直ると、不貞腐れた表情の霊夢がこちらの方へ歩いてくるところであった。

「よう霊夢。」

「どうしたの魔理沙、河童まで連れて。」

「少しばかり聞きたいことがあるんだけど構わないかい?」

「先日やりあったあれの事はよく分からないわよ。……あの女はガーディアン、って呼んでたみたいだけど。」

 パルヴァライザーとはまた違う呼び名に、戸惑いを隠せない二人。詳しく問い詰めてみたところ、霊夢ともう一人、自らをレイヴンと名乗る女性が対したのは『ガーディアン』という名の鉄の人形で、パルヴァライザーと同様に、人が操る必要のないものらしい。

「機械仕掛けなのもあって動きはそれなりに単純だったわね。」

 霊夢の言葉を手帳に書き連ねる。
対峙した時の状況、敵の動き、戦力。伝え聞いていた他の二度と大きく食い違う内容に、疑念を隠せずにいた。

「ガーディアンもそうだけど、イナゴが結構厄介そうなのよね。」

「……イナゴっていうのは?」

「例えよ例え。群れになって飛んでくるからつい。」

 群れ、という言葉に思わず顔を見合わせる。体当たりのみを攻撃手段とする、使い捨ての誘導兵器を量産しているとなると、尚の事対処を急がなければならない。
 対抗手段として使い得るアーマードコアの絶対数が少ないことはもとより、現在の状況で弾薬、燃料、部品を潤沢にする事は不可能なのだから。
尚更それ以外の対抗策を考えておく必要もあった。

「大体の大きさと体当たり時の挙動、教えてもらっていいかな。」

「全長は……大体三間くらい、火薬の類いを積んでるみたいで何かしら強い衝撃を受けたら爆発するわ。速さはあるけどそれほどしつこくはないわね。」

「強い衝撃か。だったら弾幕で爆発させられるんじゃないか?」

 魔理沙の言葉を受け、最低でもスペルカード程度の威力は必要だろうと返す霊夢。渋い表情を浮かべたが、続く「マスタースパークなら薙ぎ払うのも簡単じゃないかしら」という言葉に強気な笑みを見せる。

「なるほど、そりゃあいい。私たちも暇を持て余す必要はないわけだ。」

「魔理沙はね。」

「パワーが違うからな!」

 はいはいと面倒臭そうに相槌を打つ霊夢の背後、砂利を踏みしめる音が聞こえた。
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