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Girl's Talk-二人のジジョウ-

久し振りの掌編、御月の姉「遥(ハルカ)」さんと妹「日向(ヒナタ)」ちゃん登場です。



「そういえばさ、優希ちゃんってウチの弟とどこまでいったの?」

「え?」

 白銀宅、居間。御月より三歳上の姉、遥(はるか)の言葉に、ソファに寝そべり携帯ゲーム機と睨み合っていた優希の動きが止まった。

「…どこまでって、そんなに遠出したことはないですけど。まだ学生ですし、旅行に行けるほどお金ないですからね。」

 そう言いつつ体を起こし答える。顔に張り付いた笑みが少しひきつっているように見えるのは、気のせいではないのだろう。

「ま、そりゃ当然でしょう。でもいささかベタすぎないかな優希ちゃん?」

 350mlサイズの缶を片手に、優希のとなりに座り込む女性。御月と同じ黒の長髪を揺らし、艶のある笑みを浮かべる。
苦笑いを見せる優希を見つめる切れ長の瞳は、確かに御月の面影があった。御月に似ているというよりは、御月の方が似ているといった方が正しいかもしれない。

「べっベタってなんですか、私は何のことだかさっぱりですよ?」

「つれないわねー。姉としてはやっぱり気になるんだから、ちゃんと教えなさいよー。アレ奥手だからさ、愛想尽かされちゃわないか心配なのよ。」

「そんなこと言われても…」

「ヤったの?」

 遥の言葉に思わず変な声が出てしまう。優希の声に反応し、キッチンからこちらを伺う御月に「なんでもない」と身振り手振りで答えて、遥の方へと視線を向ける。

「未成年になんて事聞くんですか!?」

「だってセーフじゃん。どっちもゾッコンだからって結納まで済ませちゃったし、未成年でも法律上の婚前交渉の条件はクリアしてんのよ? なら二人の間に障害はないじゃない!」

「だからってそういう話を振って言い訳じゃ…!」

「さっきから何してんのさ、お姉ちゃん。」

 顔を真っ赤にして反論しようとした優希を遮るように呆れたような声が降ってくる。

「あら、日向。んー、ちょっとしたガールズトークってヤツ?」

「酔っ払いの変態が女子高生に絡んでる構図だよ、完璧。」

「ひっどー。」

「日向ちゃんからも言ってあげてよ、別にどうだっていいでしょこんな話?」

 一瞬、日向(ひなた)と呼ばれた少女の目が泳ぐ。

「あ、えっと…私も気にはなる、かな? お兄ちゃんのどこを好いたのかとか、どんなデートしてるとか、聞きたいかも。」

 優希の表情に差した暗い影をよそに、彼女のすぐ向かいのソファへと腰を下ろす。姉ほどではなくとも、自分の兄の恋人ともなればやはり興味はあるらしい。

「……。」

「さ、お姉さんに話してみなさいな! どーんと!」

「…どんなデートって言われても…普通だよ。映画見に行ったり、カラオケ行ったり、買い物に付き合ってもらったりさ。」

「え、私無視?」

「へー…二人ともゲーム好きなのにゲーセンには行かないんですね。」

「あーうん。遊びにはよく行くけど、デートではあんまり行かないかな。ちょっと違うんだよね。」

 そうなんだ、と興味深げに頷く日向。相手にされず機嫌を損ね始めた遥を気にすることもなく、
話を続ける。

「なんていうんだろ、デートの時はあんまりはしゃぎたいワケじゃないっていうか。恋人らしいコトがしたい、のかな。」

「恋人らしいコト?」

「うん。ゲーセンとかカラオケでもさ、ワイワイ騒ぐのなら二人きりより夏希とか呼んでみんなで行った方が楽しいじゃん。でも、二人だけで過ごす時間は別にしたいっていうか……御月と居るときは、騒いだりはしゃいだりしなくても楽しいんだよね。二人で一緒に居るだけでも私はいいし。ただそれじゃつまらないかもだから、時間の使い方をちょっと変えてみたりね。」

 のろけの様になったと詫びる優希を見て、ぶんぶんと首を振る日向。恋に恋する年頃か、優希の言葉により一層の憧れのような感情が見える。

「羨ましいです、そういう恋愛!」

「あはは、大丈夫大丈夫。日向ちゃんならいい人見つかるって。」

「……でもこの子ブラコンだもんなぁ。」

 発泡酒の缶に口をつけたまま呟いた遥を見、固まる二人。驚愕の表情を浮かべる優希はともかくとして、日向の方はといえば。

「……っ」

 羞恥に顔を紅潮させ、ぷるぷると肩を震わせて俯いていた。

「わた、私はいいの! それより優希さん、他に何かないんですか? お兄ちゃんの事とか。」

「え? うーん…そうだなぁ……」

 うんうんと頭を捻る優希。いざ振られてみると、何を話したものか迷ってしまうらしい。

「二人きりの時だけ態度変わったりとか無いの?」

「特にはない、かな……そうだ、御月って髪触るの好きなの知ってました?」

 がたっ、という物音。姉妹二人とも全く知らなかったらしく、優希の言葉に露骨な反応を示した。

「うわっ?! し、知らなかった? 御月さ、時々私の髪とかしてくれたりするんだよね。なんか手触りが好きとかで、そうでない時でも髪撫でてくれたりとか。」

「髪フェチかよ…」

「いや私に言われても…」

 呆れ顔の遥と、複雑な表情でキッチンの方へ視線を向ける日向。二人の意識が自身から離れたことに気付き、忍び足でその場を離れようとしたのだが、遥に気づかれ背後から両肩を掴まれる形となる。
言い訳を重ねてはみたものの、やはり逃がしてはくれないらしい。優希としては話すような事も残っていないと言いたいところだが、どうしても遥は御月との色事が気になって仕方がないようである。

「…」救いを求めるように日向を見るが、そこは思春期。全く興味がないとは言えないという。

「もしかして結構マニアックな事してる?」

「してませんって! 普通ですよ普通!」

「ふーん、やっぱりヤったんだ。」

 あ、と乾いた声が口をついて出る。ニヤニヤと意地悪い笑みを浮かべる遥を見て悪態をつきたくなってしまった。

「……生?」

「違います!!!」

 顔を真っ赤にして声を荒げる優希と相変わらずのにやけ顔を崩さない遥。日向はというと、最早茹で蛸と言って相違ない程度には赤くなってしまっている。流石に刺激が強すぎたらしい。

「あっはは、そんなムキになんなくてもいいじゃぶふあっ?!」

「日向の前でなんつー話してるんだアンタは! 優希も、あんまりそこの変態にノせられてるなよ!」

 どこから聞いていたのか、御月の居た方からまな板が飛来し、遥の顔面へと直撃する。鼻頭を押さえうずくまる遥を後目に、手にしたお玉を優希の後頭部へ打ち付けた。

「痛っ。」

「御月くんさー、調理器具こんな使い方しちゃダメでしょ?」

「ツッコミ用。調理用は別にあるから大丈夫。」

「また妙なところで用意周到ねアンタ…」

「と言われてもな。日向、ちょっと手伝え。」

 呆れた表情を見せる遥を気にすることなく、日向を引き摺ってキッチンへと引っ込んでしまう御月。引き摺られている日向はと言うと、未だに血の気の引かない顔のまま、何か考え込むように俯いて唸り声を上げていた。

「…アレ…悪い事しちゃったかしら。」

「したんです。…ていうか、日向ちゃんああいう話苦手なの知ってるんだからあんまり直接的な話しちゃダメですよ。」

「てへっ」優希の表情が一気に冷めた。

「あーあ。なんか興醒めね。…あんまりあれこれは言わないけど、それなりに節度持って付き合いなさいねー。」

「それ位は心得てますって。迂闊なコトして後悔しても遅いんですから。……四六時中くっついてたいのが本音ですけどね。」そう呟いて呷った水は、心なしか普段より冷たく感じた。
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