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完全な従者と不完全な鴉

ふと思いついたので投下。
アーマードコア幻想入りネタで、何となくLR隊長ことエヴァンジェをオラクルごと幻想入りさせてみました。

導入部分のみですが、追記からどうぞー。



「…お嬢様、随分と退屈そうですね。暇潰しには飽きられましたか?」

「…仕方あるまい、あの化物をやってこれから、何一つ面白い事などないのだから。」

 完全で瀟洒な従者の皮肉めいた口調も意に介さず、小さくため息をつき琥珀色に揺らめく水面を眺める。
『あの男』がこの館に物取りに来てからと言うものの、彼女のすぐ隣に座り、ティーカップに視線を落とす主、レミリア・スカーレットの機嫌は頗る悪かった。

 押し付けられた盗品を置いていたら、持ち主と名乗る奇手烈な仮面をつけた男が現れ、テロリストよろしくそれを奪い去った上。
 人型とも言い難い薄気味悪い巨人とやりあう羽目になり、門番含め決して軽くはない傷を受けたのであるから、不機嫌にもなろうというものだ。

「…こちらとしてはあの様な面倒事は御免被りたい所ではありますね。」

「しかし、色々と動きがあるのは確かなようだな。数日ほど前には月の兎がアレとやり合ったと聞くし、博麗の巫女もどうやらあの男の同類と接触したらしい。」

「…お嬢様?」

 怪訝な表情を向けられ一瞬不愉快そうに眉を顰めるが、直ぐに口元を歪める。

「ふん、深入りなどはしない。どのみちあんなモノと何度もやり合うのも興が乗らんしな。…不愉快だ。」

「不愉快、ですか。」

 「ああ」と小さく呟き、カップを口に付ける。少々冷えていた事もあり些か風味は落ちるが、相変わらず隣の従者は完全であった。





「…私は。」狭いコックピットの中で目が覚める。どうやら気を失っていたらしいが、直前までの状況が思い出せない。眼前で光を放つコンソールを瞳を細めて見遣り、待機状態にあったシステムを立ち上げようと試み、そして思い出す。

「なぜ、生きている?」

 アライアンスとバーテックスの前面衝突寸前、二十四時間の戦い。
彼は自身がドミナントと呼ばれる存在であると信じ、また自身もドミナントであろうとした。あの戦いにおける両陣営の目的も、それとは別の「目的」も知っていた。そして、その「目的」を果たす事こそが、彼の責務であり、彼自身が成すべき事であると。そう信じていたのだ。

「…あのレイヴンに、敗れ」私は死んだはず、そう呟く。だが、四肢は満足に動くし、コンソールがエラーメッセージを吐き出す事もない。どうやら、機体は無事であるようだし、彼自身も生存しているようだ。

 とするならば。

「此処は、何処だ?」モニターに映される機体正面の景色は、先程までいた前線基地ではなく、見知らぬ花畑と、数mとない距離に存在する小さな壁。人間用の塀、といったところだろう。サブカメラの映像を出したところ、左手に大きな建物が見えるあたり、何処かの屋敷の敷地内と見るのが妥当か。

「…余計な事にならない内に離れるべきだな。」

 そう結論づける。アーマードコアなどと言う兵器を敷地内に持ち込まれて喜ぶ者など居まいし、状況を掴めないのであれば尚更、面倒事を起こすではなく通常の手順で情報を探る必要性がある。
なぜ生きているのか、なぜパルヴァライザーの影が見えないのか、インターネサインはどうなったのか。疑問は尽きねど、先ずは現在の自分の状況を掴む事が先決であろう。

 そう考え、機体を立ち上がらせようとした男であったが。

「こんな所で何をしているんです?」

 意識を取り戻すのが数刻、遅かったらしい。





「お前は…?」機体越しに問いかける。少し遠くにいた少女の姿は、いつの間にか機体の直上、頭部の直ぐ側まで駆け上がってきていた。中国系の民服に、紅の長髪。
 見た限りでは、少女と呼んでも差し支えないであろうその顔つきに、数瞬呆気に取られていた。

「…それはこちらの台詞です。人の屋敷の敷地にいきなり入り込んできて、非常識だとは思わないんですか?」

 またお嬢様や咲夜さんに大目玉ですよ、と溜息を吐く少女。何故かは知らないが、彼女はコレを恐れるという事がないらしい。動いていないからなのか、そもそも人型の機動兵器自体を恐れていないのか。
そのどちらにせよ、彼女がただの少女では無い事には変わりないのだが。
 いくらこちらが動揺しているとはいえ、捉えきれぬ内にあの距離を詰めた挙げ句、更には易々と頭部近辺まで上ってこられる様には到底見えない。

「済まない、と言いたいところだが、私自身にも何故この様な状況にいるのか掴めん訳だが。」

「…なるほど。ところで。」

 赤毛の少女が、訝しげな視線を機体に向ける。

「何だ。」

油断していた。
あちらからすれば彼は侵入者であり、なおかつこの様な兵器を持ち込んだのだから、敵対勢力と見られても不思議ではない。
すぐさまそう考え、シート側に仕舞っていた拳銃を組み立て、それを片手に持ったままコックピットハッチをロックする。
 対人用の火器ではハッチをこじ開ける事は不可能だし、外部からの解放用である非常レバーにしたって、使用にはパスコードが必須である為、部外者では開ける事は出来ない。
 一見、装甲の防御スクリーンを越えてダメージを与えられるような武装を持っているようには見えないし、とりあえずは大丈夫だろう。
 そう考え、臨戦態勢のまま次の言葉を待つ。

「…見たところ人間ではなさそうですけど、どういった妖怪の方です? あの化け物と似たところはありますが…」

「…は? 何だソレは?」

「何だ、って、何がです?」

話が噛み合っていない。どうやら戦闘の意志がある訳ではなさそうだが、何やら勘違いをしているらしい。それがどういった勘違いなのかは些か測りかねるが、もし想像通りであれば。

「…まさか、この機体そのものが私だと考えてはいないだろうな?」

「…違うんですか?」ビンゴ。天然なのか、そうなのか。そう言ってコックピット内で頭を抱える訳だが、それが外から判るはずもなく、赤毛の少女はただ首を捻るのみであった。

-続く。-
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