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オサナナジミ×コクハク=コイビト

えーと、前回の話の続きになります、御月と優希の恋バナその2。

時系列的にはあの後すぐ、回想部分がメインですけどねー。



しかしイラストとか漫画で見てみたいとか思ってしまう。いや自分で描けって話なのですがw
・・・描いて貰えると嬉しいかなぁ(キリッ

甘い(らしい)のでご留意ください。それでは追記から。
彼女が溢した大粒の涙が、記憶から消えない。

「…これで二度目、か。」

一度目は、中学の卒業式。



―優希と、『コイビト』になった日。



『…もう、卒業なんだよねー。』

「思ったより、あっという間だったな…。」

式の直前。教室で話す御月と優希。

「あ、御名坂、ちょっといいか?」

「ん? どしたの?」

クラスメートに呼ばれ、そちらの方へと歩いて行く優希を見送り、溜め息。

「どした? 随分つまらなそうな顔して。」

「ああ、香椎か。…別に。」

「おいおい、三年連れ添ってきたダチに対しての態度じゃねーだろソレ? 卒業ったって良くつるんでた面子は進学先一緒なんだし、気ぃ落とすなよ。」

友人の励ましも聞こえているのか聞こえていないのか。御月から返ってくるのは、曖昧な返事ばかり。

「…御名坂か?」

「…何言ってんだ。」

「今御名坂と話してる奴、ちょっと前からアイツの事気になってたらしいな。…御名坂は御名坂で本命が居るみたいだからアレだが。」

「っ…」

「…んな不貞腐れてんなよ。幼馴染みったって色恋ばっかはなんもなんねーだろ。」

「そういう訳じゃねーよ…」

「…相変わらずっつーか、面倒なヤツだなぁ…」ポツリと呟いて、香椎と呼ばれた少年は御月の席を離れる。



―不貞腐れもしたくなる。油断していたらアイツに手が届かなくなりそうだというのに、自分からは何も行動を起こせない不甲斐なさに。苛立つなという方が無理な話だ。



「う…うん、それじゃあまた後でね。」

先ほどまで話していた相手に手を振る。別れてそのまま、御月等の方を窺う。

「…。」



―これで、何度目になるのかな。多分、御月に話しても…今までと同じ答えが返ってくるだけ。



「よっす、御名坂。三年間、思ったより短かったなぁ。」

いつの間にか御月と別れていた香椎が声を掛けてきていた。

「あ、香椎君もなんだ。…御月も同じこと言ってたよ? 私は結構長く感じたんだけどなぁ。」

「マジ? そりゃ意外だわ…」

「意外って?」

「んー、大したことじゃねえけどさ。本人から直接聞いた方が良いんじゃねーかな。」

そうして話している内に担任の姿が見える。中学最後の朝礼、出欠。御月とも話せないまま、講堂への移動が始まってしまう。



―これで、この制服ともお別れか。…式の前に、御月ともうちょっと話したかったな。






『―――年度、卒業式を終了とさせていただきます。』

在校生や教員逹に見送られ、講堂を後にする。同じ高校へ進学する者が居ればまた、それぞれ違う進路を選ぶものも居る。
教室での最後の挨拶も終わり、教室を後にする者逹もちらほらと見え始めた。

「三年間お疲れさん。高校でもよろしくな。」

「まさかみんな同じ学校とはねー。まあ、その方が嬉しいのは確かだけどさ。」

「腐れ縁というのも悪くないですよね。」

「楓その言い方はなんか違う。」

机を囲んで話す四人組。御月と香椎の他に女子が二人。しかし、優希の姿は見えない。

「それで、この後どうする?」

「夏希さんカラオケが良いな!」

「自分で夏希さんとか言うなよ。神鷺はカラオケな。で、奈々月と白銀はなんか意見あるか? あ、御名坂なら後で合流するってよ。ちなみにアイツもカラオケ。」

「私は特には…あ、でも久しぶりにゲームセンターにも行きたいですね。」

「ゲーセンもアリだな。…で、さっきから物憂げな顔してる白銀は何か案ないのか?」

香椎に名指しで呼ばれ、ようやく反応を示す御月。視線は変わらず扉の方へと向けられている。

「ん…いや、任せるよ。」

「…ならいいけどよ。」

「とりあえずゲーセンにカラオケに、それから何か食べてかない?」

「それもイイな。んじゃ決まったところで出るかー。御名坂の方も連絡入れとかねーとな。」

「あ…先行っててもらって良いか? 優希にはこっちから伝えとくよ。」

不思議そうな表情を見せる女子二人と、対照的に少し怪訝そうに眉をひそめる香椎。

「…はぁ…そう言うなら任せる。あんまり遅れんなよ。」

「ああ…悪い。」

「今回の飯代でチャラにしてやるよ。」

そう言って、二人を連れて教室を後にする香椎。
事情を察したらしく、暫く何も言おうとはしなかった神鷺の口から、去り際にただ一言「幼馴染みって、そんなに辛いもんなのかな。」という声が聞こえた。



―正直なところ、どうするかも、どうしたいかも、何も解らなかった。ただ教室でいたずらに時間を過ごし、何を待っていたのか。優希が此処に来た時、どうするつもりだったのかも。



―ただ、今日の内に何も出来なければ今度こそ、何かを失うんじゃないかという予感だけがあった。






『…ごめんなさい。私、好きな人いるからさ。』

「…あー、そうか。まあ気にしないでくれっかな? 高校別になるっぽいからコクっときたくてさー。」

人気の少なくなった渡り廊下。肩を落としながらも、笑って話す少年と、申し訳なさそうな表情の優希。

「ホントにごめん。」

「いいっていいって。高校でまた彼女探すよオレは。ま、好きなヤツが居んなら気合入れて落とせよ、御名坂も。」

「…あはは、ありがとね。」

「そーいや、御名坂。荷物持ってないのか?」

「ああ、教室にまだ置きっぱなしだっけ。」

「フラれといて言うのもアレだけど、待っててやろうか?」

そう言って笑う。

「アリガト。でも残念ながら先約居るからさ。」

「そうか、じゃあな。高校でもお互い頑張ろーぜ。」

「そだね。」



―気合入れて落とせ、か。苦手なんだけどな、そういうの。でも、そうでなきゃ、近付けないのかもしれない。だけどさ。



―もう、ずっと待ってたんだよ? これからアプローチできる勇気なんてないし、これ以上、待ってていられる自信もないよ。



―多分、今日が最後になると思う。私の初恋。



―初恋は実らないなんてジンクス、ホントにしないで。



すっかり人気のなくなった教室。僅かに残っていたクラスメートも、既にグループで遊びに行ったり、待ち合わせの約束を取り付けたりとで、既にほぼ全員が下校している。

『御…月。』

「…っ…。」

窓際の御月の席。椅子に腰掛けていた御月の姿を認める。

「…あ、そうだ香椎逹は先行ってるって。」

「…そっか。」

「…なぁ、優希。」

「なに?」

デリカシーがどうだとか普段なら言われていただろうが、幸か不幸か、周りに人の姿はなく。
そしてそういった事を気にしていられるほど、御月には心理的余裕がなかった。

「式終わってすぐ、教室から出ていっただろ? …なにか用事だったのか?」

「…大したことじゃないよ。話があるって言われたから行っただけ。」

「話って…」

「…断ったよ。好きじゃない人とは付き合えないでしょ? やっぱり。」

「そうか…」

安堵した表情を見せる御月を見て、優希の表情が更に強張る。

「…夏希に楓も居るんだよね。早く三人と合流しようよ。」



―結局、このまま諦めた方がいいのかな…。ねえ、御月。私はただの幼馴染みなの? 友達以上には、なれないのかな。



そう言って踵を返す優希。教室の扉を越えようとした刹那、

『優希っ!』

「っ?!」

御月の声が鋭く響く。

咄嗟に伸ばした右手は、少女の腕を掴み、二人の距離を一気に縮める。

「みつ…き…?」

「…っ…悪い…思い切り掴んで…痛くなかったか…?」

「ううん、平気…。だからさ、中途半端に優しくなんてしないで…」

「え…?」

戸惑う御月の手を振りほどく。

「…優希?」

「ゴメン、なんでもないんだ。」

「なんでもない事ないだろ? 俺に出来る事があるなら、力になるから」

「っだったら!!」

優希の叫び声が強く響く。小さな肩を振るわせ、今にも消えてしまいそうな、弱々しい姿。
今になってやっと。彼女の頑なな態度の理由に気付いた。

「お願いだから、曖昧な態度で…変に希望持たせるようなこと、しないでよっ…!!!」

緊張の糸が切れ、涙ながらに絞り出す言葉は、感情は、止める術もなく。

「…何度か告白されたコト話した時だって、今日みたいに少ししか反応しないでさ。それなのに私が黙ってたらそうやって聞くんだね…っ! …いっつもそんな中途半端な態度して…結局私は御月の何なの?! 友達!? それともただの幼馴染み!? 答えてっ! お願いだから、答えてよ…御月…!!」

ブレザーの裾を掴み、ただただ声を張り上げるだけしかできなかった。

「…ごめん。」

「……謝らないで…」

「でも…、…わかった。…ちゃんと、答えるから。」

行き場の無かったその手で、優希を抱き寄せる。離さない、離したくないと想いを込めて。



―なんで、もっと早く言わなかった。もっと早く、勇気を奮えれば、少なくとも今みたいに、こいつを泣かせる事はなかったかもしれないのに。



「俺は…友達とか、幼馴染みとか、ずっとそのままは…嫌だ。お前の側にいたいし、ずっと、隣に居て欲しい。」

「っ…?!」

「…怖かったんだよ。お前が他の誰かとくっつく事も、今の関係を壊して踏み出すことも。…だから、ずっと言えなかった。」



―優希。…ずっと、お前が好きだった。今でも、この気持ちは変わらない。



言いたかった、だけど言えなかった想い。三年越しの、もしかしたら、更にその前から好きだったのかもしれない。
時間の感覚を忘れ、早鐘を打つ鼓動を聞きながら、永遠に続くかのような時を、優希を腕の中に抱き締めたまま過ごす。

「…やっと…言ってくれたね…。なんで…もっと早く言ってれなかったの? …待たせ過ぎだよ、バカ。」

「…ごめん。」

「また謝る。…私の方こそ、勝手なこと言ってごめんね。御月のコト言えないのにさ。」

「…そうか…っ?!」

不意に固く閉じられた瞳が眼前に飛び込んでくる。唇に触れる暖かさ、顔に掛かる吐息、自分のものではない心音。
『何が起こったのか』気付くまでに、少しの時を要した。

「…へへっ……キス、しちゃったね。」

「………」

「黙らないでよ、私だってカナリ恥ずかしいんだからさ…。」

「ご、ごめん…とにかく、香椎達待たせるのもアレだし、早く合流しよう。」

「…そうだったね。あ、そうだ御月!」

手を引いて教室から出ようとする御月を呼び止め、掴まれていた腕を自身の方へと引き寄せる。そして。

「なっ…お前また…っ?!」



―少しだけ背伸びをして、貴方の頬に口付ける。



―好きだよ、御月。






『みーつーきっ!』

突然耳元に聞こえる声。驚いて辺りを見回すが、先ほどまで見ていた教室の景色は何処にもなく、周りに見えるのは、何度も来たことがある彼女の部屋。

「っ?! あ、優希か…」

「どうしたの? ボーッとしちゃって。」

「…いや。ちょっと、中学の時の事思い出してたんだよ。」

「へー…。さっきのでデジャヴュったとか?」

直ぐとなりの優希の目が細くなる。

「…そういえば、おんなじような事言ったんだっけ、私。小さい頃からこんなんだからさ。」

どこか遠くを見ているような、物憂げな瞳。

「ごめんね。可愛くない女の子で。」

「…可愛くなきゃ好きにならないっての。」

「?!…っ…ちょっとキザだよ、御月。」

「…悪かったな。」

瞳にうっすらと涙を湛えたまま笑う優希と、顔を真っ赤にして瞳を逸らす御月。



―いろいろ、イヤなこともあったけど。今こうして、御月の隣にいる。多分ケンカもするだろうし、今日みたいなすれ違いもあると思う。



―でも。御月を好きな気持ちは変わらないし、これからもずっと、御月の側に居たい。…貴方の『ヒロイン』になれるよね、私。



「もっかい、キス。…しよっか。」

fin。
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