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ARMORED CORE3 SILENT LINE『藍深き霧の瞳』

お久しぶりでございます。

すっかり忘れられてるであろう暫く前の考察、こちらのサイレントライン長編。



ようやく第1話が完成しました!(キリッ

Golden Eyesと並行して完成まで持って行けるのかは不安ですが、気長に見てやってください。
また、例によって文章に稚拙な部分もございますがご了承を。



こちらも『藍深き霧の瞳』グループにて個別で展開していきたいと思いますので、宜しくお願いします。

それでは、本文は追記の方から。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






《試験の概要を説明する。―――》



 坐り心地のイマイチなシートに体を預け、小さく息をつく。
ついに、この時が来た。期待とも不安ともつかない感覚が体を支配する。

《―失敗すれば、その時は死ぬだけだ。》

「…っ。」

試験とは言うが、やる事は実戦そのものであり、油断は死に直結している。再び呼吸を整え、システムを立ち上げる。

《これより作戦領域に入る。君達の働きに期待する。》



人型兵器『アーマード・コア』を駆る傭兵、『レイヴン』を選抜する為の試験が始まった。




『Armored Core3-Silent Line-"藍深き霧の瞳"』


mission-001《RAVEN―ワタリガラス―》




《敵部隊の全滅を確認。なるほど、素質はあるようだ。ようこそ、グローバルコーテックスへ。…君達を歓迎しよう、『レイヴン』。》

 市街地の外れ、大きさのある広場に佇む二機のAC、その頭上に大型のヘリが降りてくる。
その内一機は大きな損傷も無く、被弾もごく軽微。もう一機は集中砲火を浴びたのか、装甲の各所に弾痕が存在する。
しかしながら、致命的と言える損傷は無く、被弾は強度のある前面のみであった。

「…くぁー…し、死ぬかと思った…。」

『…大丈夫ですか?』

 コンソールに突っ伏し唸り声を上げる。同時に試験を受けていた青年の心配そうな声がスピーカーから聞こえるが、正直な話、全然大丈夫じゃない。
第一、機体前面が煤まみれのベッコベコになるまで被弾したのだ。今こうして突っ伏していられる事が信じられない。
関節やカメラアイなどに被弾していないお陰で何とかなったのだろうが、それはそれで大した悪運だと思う。……いや、それは昔からか。

そんなことを、ヘリのアームに機体を固定させながら思うのだった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「名前は『Sis』。今回登録されるレイヴンの一人だ。君には今後、彼女の補佐に就いてもらう事になる。…何か質問は?」

手渡された資料に目を通す。

―――申請名『Sis』、本名はシス・ブルーム。経歴は不明、今後のサイレントライン調査への参加を目的としていると思われる。
試験は合格。撃墜数も同時に出撃したレイヴンを大きく上回っている。しかし被弾率が異常に高く、危険度の高い依頼を回すには現状では不適。以後の戦果、ランクの推移を見て適宜調整するのが妥当か。

「…? 女性、ですか?」

「不服か? 今時珍しいことでもあるまい。それに、君はまだ特定のレイヴンの補佐に就いた事はないだろう。新入りの担当は、遅かれ早かれ通る道だ。経験を積むのも仕事の内だと思うがな、『エマ・シアーズ』君。」

「…そうですね。」

名を呼ばれ、澄ました顔で返事をする女性。

「分かれば結構。ただ、個人の担当になったからといって、大規模な作戦行動時のオペレートが無くなる訳ではない事を頭に入れておいてくれ。まあ、しばらくはその機会も無いと思うが。」

「…それを、このような場所で話すというのもどうかと思いますが。」

先程から、女性の表情に呆れの感情が見え隠れする理由は場所にあった。



とあるレイヴンによる管理者の破壊後、企業の拠点同様地上に移された『グローバルコーテックス』本部。

未だに一部機能を地下に残しているが、地上の開発が進むにつれ移民も終了しつつあり、レイヤードにおける役割は既に終わろうとしている。



そのコーテックス地上本部。所属を問わず人の出入りする食堂の一角に二人の男女はいた。

一人は見るからにレトルトなカルボナーラのパスタを玩びながら、もう一人はそれを呆れた様子で眺め、購買で買ったであろうサンドイッチとジュースをテーブルに乗せたまま。

どう考えても重要事項である、新人レイヴンの話を平然としていた。

「どうだかな。新入りの、それも能力も高いと言えないような結果を出した新人だぞ。そんなレイヴンの話を聞いて企業が得をするとでも思うか? MT(マッスル・トレーサー)だとやや手に余る程度の依頼を回す対象が一つ増えるだけだ。毒にも薬にもなりはせんさ。」

「……だといいのですが。」

エマの対応が気に食わないのか、眉間に皺を寄せる男。そして、大きな溜息と共に口を開く。

「…それにしても、社食の飯が不味いのは不文律なのか、はたまた暗黙の了解とでも言うのか。どちらにしろ回避できない物なのかねぇ…かといって他に選択肢がある訳でも無し。」

オフモード、といった所だろうか。仕事とそれ以外での落差が激しい目の前の上司を眺めながら、エマは自分のサンドイッチに手を伸ばす。

「別に社食に拘らなくても、少し足を運べば食事する場所なんて十分にありますよ。試しに行かれてはどうですか?」

「ふむ…じゃあ一緒に『お断りします。』

一刀両断。とりつく島もないとはこういう事か。

「はぁ…つれないね。かといって、男一人で外食っつーのもどうかと思うぞ、俺は。」

「一人でフレンチにでも入って笑われるなりすれば良いんですよ。同じ冗談なら素直に他を当たるかです。」

「…えらく毒吐くな…一応お前らの上司だぞ、俺。」

「仕事外ではただの同期です。…とにかく、先程の件は引き受けますので、他に資料があれば私のデスクにでも置いておいて下さい。それでは。」

飲みかけの紙パックと、サンドイッチの包み、先程受け取った紙の束を手に席を立つエマ。

「…一応、仕事の話してたんだがな。」

一言呟き、再びパスタにフォークを向けるのだった。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「移転先? そんなの決めなきゃなんないの!?」

「みたいですね。『グローバルコーテックス』管理下の居住区に居を移す必要がある、って書いてます。」

試験に使用した機体をアセンブルスペースに仕舞い、係員から渡された案内を片手に通路を行く二人の新人レイヴン。

「パーツの売買やカスタマイズの利便性を取っての事でしょうか。登録しているレイヴンのガレージが一つのエリアに集まる訳ですし。」

青年の言葉に、あからさまに怪訝な顔をする女性。

「…気に入らないわ。単にレイヴンを管理出来る場所に集めて、企業の直接契約を防ぎたいだけでしょ。コーテックスは仲介業だもの、取れるマージンは取っときたいのよ。」

「は、はあ…」

「まあ、そのシステムにレイヴンが守られてるのも確かだし、悪いとは言わないけどね。」

そう言ってカラカラと笑う彼女に、ただただ気圧される青年の頭を、一つの疑問が過ぎる。

「…それにしても、よくご存知ですね。」

「そう? 傭兵業やってれば普通じゃない? それに、説明受けたでしょ。アレでこの程度までは推測できるわ。」

「あ…まあ。それもそうですね。」

「さて、何処にするかな。あんまりガレージから離れるのも面倒臭いしねー…。」

「あ、僕はアリーナの方の登録があるのでこれで。」

十字に別れた通路で、青年が行き先を変えた。

「アリーナ?」

「はい、支給された機体の登録を先に済ませておこうかと。」

「…ふーん、私はまた後でいいわ。先ずは住居。根城が決まらなきゃ始まらないわ!」

握りこぶしを作り声を上げる。


目の前の青年の興味は既に、これから受け取る『ランカー』という肩書に向かっているらしいが、私としてはまさに住居が一番の問題だった。
正直な話、現在の住処からではガレージからの距離は遠すぎるし、足を別途用意するのも面倒だ。
そもそも、コーテックスのこの仕組み自体は、レイヴンとしてただ依頼をこなす程度なら食いっぱぐれないように出来ている。
その上、このシステムの延長としてブリゲートプロジェクトが存在している以上、コーテックスの庇護を受けられるのは願ってもないことである。

実際のところ、諸手を挙げて飛びつく趣味はない、それだけの話。


そんな彼女の心中など知るはずもない青年は、そのまま事務局へ向けて歩き始めていた。

「それじゃ、さようなら『Sis』さん。戦場で敵として会わない事を祈ります!」

「頑張れ青年! お姉さんは応援してるぞ!」

『シス』と呼ばれた女性は手を振り返し、青年の後ろ姿を見送る。

「うん…林檎クンに似てるなぁ、彼。」

口をついて出たのは、レイヤードに居た頃に知り合ったレイヴンの名前。アリーナの登録は既に消してしまっていたようだが、今頃何をしているのか。

「ま、ヒトの事より自分の事、ってね。」

そして踵を返し、通路を再び歩き出す。目下の目的である、住居を得る為に。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「えーと…ガレージと市街地がそれなりに近くてユニットバスは却下、敷金礼金合わせて30~40位、後は家賃が月7、8程度…、贅沢言い過ぎかしら…」

手元のパンフレットを渋い表情で眺めているシスを、向かいに座る事務局員がこれまた何とも言えない表情で見ている。

「あの…お客様…?」

余りに長く、また余りに彼女の情報と釣り合わない悩みに、耐え兼ねた事務局員が恐る恐る呼び掛ける。

「はい?」

「あの、ご提示頂いた予算とお悩みになられている予算とが、その…余りに開きすぎているのですが…。」

「ん?…あ、幾らで言ったっけ私?」

頭上にクエスチョンマークを浮かべるシスに、局員が二本、指を立てる。

「えーっと…20? 足りてない?」

「提示された口座の残高は2コームです…。レイヴンだとお聞きしたのですが…私の勘違いでしょうか…?」

「…アレ? …確か…MT乗ってたの頃の貯えもあった筈なんだけど…」

「? どうかなさいました?」

「いえ、何でもないわ。…って、2? 口座の残高が?」

「………はい。」

鳩が豆鉄砲でも喰らったような表情で聞き返してくるシスに、怖ず怖ずと頷く局員。

………

……………

…………………

………豆鉄砲が豆ショットガンに変わった。

「2って何!? どういう事!!? その気になればフレーム買い換えられる程度の貯金はあったはずじゃないの!?」

「そ、そのですね…先週頃にどうやら引き落としがあったみたいでして…その、二百万程。」

「…相手は?」

「…『クレスト・インダストリアル』。費目は施設の修繕、との事です。」

「………。」


顎に手を当て、しばし考え込む。
ここ最近に依頼を受けた記憶はないし、それが施設被害によって減算を受ける類、施設防衛等となると余計に心当たりがない。
それに時期も時期だ。レイヴン試験寸前だというのに、MTを駆って呑気にミッションなどやっている馬鹿が居るわけも…

そう考えたところで、ふと思考が止まる。


―――そのレイヴン試験寸前に、自身は何をしていた?


記憶がはっきりしない。
記憶障害が出るほどの失態を晒していたのであれば、それこそ今頃は命がないはず。
ならば何故…・。


「…あ。」


―――思い出した。忘れておけばよかったモノを。


馬鹿なんてレベルじゃなかった。
MT乗り数名で集まって、酒盛り等という愚行に走っていたのだから。
あれに比べたら、呑気にMTを駆ってミッションをこなす馬鹿の方が数十倍は可愛げがある。
道理で記憶がないわけだ。得心がいった。

しかし、ここでまた一つ疑問が生じる。そも酒盛りで施設の修繕費なんて出るはずがない。
だとすると、やはりミッションにて何かしらのミスをしたと考える方が自然なのだが、そうなると時期が合わなくなる。
思考を更に加速。“何があったのか”その一点に焦点を合わせ、記憶の糸を辿る。


「……?」

何かが引っ掛かる。あの場にいた面子はどうした?
そういえば。あの後暫く、参加していた数名からの視線が痛かった記憶がある。

と言うことは。

あの時、私は何をした…?

「うーん……あ。」

「どうしまし」何でもない。何もあるはずがない。カウンターに身を乗り出し局員の口を塞ぐ。
いや、正確には『何か』やらかしたからこそ、企業から直接弁償させられる羽目になっていたわけだが。

(…MTで乱闘してたわね、私。)

しかも酒盛りをやっていたのは『クレスト陣営の整備基地』の一つ。よく弁償程度(とは言っても数百万の備蓄をほぼ全て徴収されたが)で済んだものだ。

「…気にしないで。引落も特に問題はないから、クレストの方への連絡なんかもしなくて良いわ。」

「は、はあ…?」

「とにかく、今の口座残高じゃガレージ区画近くに引っ越すのは無理なのよね?」

疑問符を一瞬だけ浮かべた局員だったが、すぐに気を持ち直し、応対を再開する。

「は、はい。あの周辺は貴方以外にも多くのレイヴン、整備関係者の異動が多く、その分手数料なども高くなっていて…。」

「結構な頻度?」

「ええ…『レイヴン』ですから。」多くを語るまでもない。幾らACとは言えど、扱うのは生身の人間だ。
戦場で命のやり取りをする以上、レイヴンとなってすぐ命を落としてしまう者が居ても、別段不思議ではない。

「…まあ、そりゃそうか。しかし、どうしたものかしら。。。」

 眉間に皺を寄せる彼女の後ろで、扉の開く音がした。






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






「…記入されていたアドレスへメッセージは送信済みですが、一度直接会っておいた方が良いかもしれませんね。」

 廊下を歩きながら、手元の資料に一通り目を通す。
見れば見るほど謎が多い人物だ。経歴不明、目的は想像の範疇を出ないし提示されている本名も本当なのか怪しいし、その上レイヴンになった経緯までもが不明なのだ。レイヴン試験自体を『受ける』だけであれば、さほど難しくはない。
コーテックスが指定した書類の提出、ACの基本操作マニュアルの受け取り、対MT実戦への投入による適性検査。
それさえクリアすればレイヴンになる事は誰だって出来る。

 しかしだ。初めての搭乗である筈の新人が、統率の取れていない武装集団が相手とはいえ十五機ものMTを撃破し、あろう事か、搭乗していた機体の被弾率が異常に高いのだ。

そう、通常であれば関節部やカメラの破損が確実に引き起こされる程度には。

(信じがたい話ですが…)銃口や敵機の動きから射線を予測し、致命傷を回避し続けていたとでもいうのか?

 あり得ない、そう頭を振る。しかし、データの記入ミス以外に思い当たる結論は、結局どれも巫山戯たものであった。


「…しかし、それを確認する意味でも、やはり会っておくべき…」思考は寸断された。若い女の声が正面奥の扉から聞こえる。


此処からなら歩いてでも十分に間に合う距離、それにさほど大きな騒ぎではないようだけど…。




普段は聡明である彼女、エマ・シアーズも。





「…少し覗いてみますか。」好奇心には、流石に勝てなかった。



―mission 001 [ FIN ]―
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